イリオモテヤマネコの事故死多発 世界遺産で課題も - 産経ニュース

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イリオモテヤマネコの事故死多発 世界遺産で課題も

西表島に生息する国の特別天然記念物イリオモテヤマネコ。カメラに気づくと一瞬、鋭い目つきで見つめ立ち去った=沖縄県竹富町
西表島に生息する国の特別天然記念物イリオモテヤマネコ。カメラに気づくと一瞬、鋭い目つきで見つめ立ち去った=沖縄県竹富町

今夏に世界自然遺産となったばかりの西表(いりおもて)島(沖縄県竹富町)で、国の特別天然記念物であるイリオモテヤマネコの交通事故死が目立っている。今月も島内の県道で雌の成獣が死んでいるのが見つかり、今年になって事故死したヤマネコは5頭に上った。交通事故対策については世界自然遺産の事前調査でも課題に挙げられており、環境省や地元自治体が観光客らに注意を呼び掛けている。

環境省西表自然保護官事務所によると、1日午後8時半ごろ、西表島西部の集落近くの県道で、ヤマネコが死んでいるとの連絡が同事務所にあり、職員が駆けつけて確認した。まだ体が温かく、車にひかれた直後だったとみられる。体重2・9キロ、体長56センチの雌の成獣だった。

西表島では令和元年12月以降、新型コロナウイルス禍で島民が外出を控えていたこともあり、496日間にわたってイリオモテヤマネコの「無事故」が続いていた。しかし今年は4月21日と6月25日に雄の成獣が死んでいるのが見つかったほか、世界自然遺産への登録が決まった2日後の7月28日と、8月15日にも雄の幼獣が事故で死亡した。

イリオモテヤマネコの生息数はおよそ100頭。西表島には他に大型の肉食獣はおらず、車が最大の〝天敵〟だ。世界自然遺産への登録にあたっても、事前調査した国際自然保護連合(IUCN)が事故死について懸念を示していた。

同事務所の田中詩織(しおり)専門員は「事故が相次いでいることを、極めて深刻に受け止めている。島民や来島者には、より一層の安全運転を求めたい」と話す。

秋から冬にかけては、子ネコが母ネコから離れて単独行動をはじめる時期であり、経験が浅い分、事故に遭いやすいという。

一方、新型コロナウイルス緊急事態宣言の解除によりレンタカーを使う観光客らが増え、事故死の増加が懸念される。

同事務所ではイリオモテヤマネコの保護に向け、目撃情報を幅広く呼び掛けるとともに、万一事故を起こした場合や、けがをしているヤマネコを見つけた場合はすぐに連絡するよう求めている。連絡先は環境省西表野生生物保護センター(0980・85・5581)。