次期衆院選に向け、自民党の選挙区調整が難航している。党執行部は1次公認で判断を見送った6選挙区について関係者から事情を聴取。近く2次公認で結論を示した後、比例代表各ブロックの名簿順位も発表し、速やかに挙党態勢を構築したい考えだ。
「党としては保守分裂は避けてほしい」
自民の遠藤利明選対委員長は13日、山口3区の現職として次回も公認を求める河村建夫元官房長官と面会し、こう求めた。
同区では、参院議員を辞職した林芳正元文部科学相がくら替え出馬する方向だ。河村氏は、同席した甘利明幹事長らに「(林氏の行動が)党規約に反しているのではないか」などと尋ね、自らに公認候補としての正統性があると訴えた。
甘利氏らは同日、林氏とも面会した。林氏は、地元の党山口県連が、党本部に自らを公認候補とするよう申請した経緯などを説明したという。
問題を難しくしているのが、78歳という河村氏の年齢だ。党では、比例代表候補に「73歳定年制」という内規があり、県連の申請に従って「林氏を選挙区、河村氏は比例」と住み分けが行いづらい。河村氏は13日、地元の山口県で後援会関係者と協議。14日にも記者会見を開き、対応を説明するという。
自民は11日に295人の1次公認を出したが、山口3区など、保守系候補が競合する6選挙区は調整を先送りした。このうち、北海道7区では、同区現職の伊東良孝元農林水産副大臣と鈴木貴子外務副大臣(比例北海道)が出馬を目指している。鈴木氏の父親で、日本維新の会の鈴木宗男参院議員は7日、党本部で甘利氏と面会し、鈴木氏を公認候補とするよう求めた。これに対し、伊東氏周辺は「他党の人間が党本部に乗り込んでくるのはおかしい」と反発を強める。
東京15区をめぐっては、党東京都連が今村洋史元衆院議員を公認申請したが、1次公認から漏れた。同区を地盤とする無所属の柿沢未途衆院議員(比例東京)が、4日の首相指名選挙で岸田文雄首相に投票するなど自民入りを目指しているためだ。自民は同区で擁立を見送り、勝者を追加公認する案が浮上している。
群馬1区では同区現職の尾身朝子元外務政務官と中曽根康隆衆院議員(比例北関東)が公認を争っているほか、福岡5区、長崎4区でも調整が続いている。(広池慶一)