法廷から

千葉・市原の女児衰弱死 母、涙で「残酷なことした」

千葉地裁
千葉地裁

千葉県市原市のアパートで昨年1月、生後10カ月の次女、小西紗花(すずか)ちゃんを放置し死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の小西理紗被告(25)の裁判員裁判の判決公判が14日、千葉地裁(友重雅裕裁判長)で開かれる。小西被告はネグレクト(育児放棄)を認めて謝罪しており、犯行当時の責任能力が争点だ。

6日に行われた論告求刑公判。検察側は小西被告について、興味が向くことや自分自身に関わることについては活動的で、精神障害の程度は深刻ではなかったと主張。「援助を求めれば紗花ちゃんを救命することは容易にできたにもかかわらず、自己の都合でその機会を奪った」などと非難し、懲役3年を求刑した。

一方の弁護側は、一昨年の夏ごろから精神状態が徐々に悪化した小西被告は事件当時、心神耗弱状態にあったと主張し、今後は家族のサポートを受けられることなどを理由に執行猶予付きの判決を求めた。

提出された証拠からは、当時の小西被告の家にはゴミが散乱し、放置された食べ物にうじがわいていたことも明らかとなった。証人として出廷した夫は、事件直前の小西被告の様子について、「限界なんじゃないかと思った」と証言した。

小西被告と夫は事件当時、夫の女性問題などが原因で別居しており、小西被告は紗花ちゃんを含む子供3人と4人で生活していた。夫が最後に自宅に帰ったのは紗花ちゃんが亡くなる1カ月前の令和元年12月25日。この日、長女や長男を交え食事をした際の小西被告の様子について夫は「口数が極端に少なかった」と振り返った。

一方、小西被告が紗花ちゃんに十分な食事や水分を与えず放置したとされる昨年1月3~25日の間、小西被告が、ファミリーレストランのデリバリーサービスで食事を注文したり、スマートフォンでゲームをしたりしていたことなども明らかになった。責任能力が十分にあったとする検察側の主張の根拠となっている。

小西被告は初公判から、傍聴席を気にする様子をみせ、夫が証人として出廷した際には泣き叫び、休廷する場面も。だが後日行われた被告人質問では一転して落ち着いた様子で質問に答え、長女が生まれたときの心境については弾んだ声で「180度人生が変わった」と振り返った。

被告人質問で、紗花ちゃんに対しての思いを問われると、「こんな恵まれた国で、食生活に困らない家で、餓死させるという残酷なことをしてしまった。苦しい、つらい思いをさせてしまって、ごめんなさい」と涙を流しながら述べた。

判決は14日午後3時から言い渡される。(長橋和之)

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