【主張】JR東の運行混乱 安全確保へ施設総点検を - 産経ニュース

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JR東の運行混乱 安全確保へ施設総点検を

JR東日本管内で地震と変電所火災による運行停止が相次ぎ、首都圏の利用客の足に多大な混乱をもたらした。

10日昼、埼玉県蕨市にあるJR東の変電所で起きた火災では、停電によって山手線や京浜東北線、埼京線など首都圏の在来線が広範囲に運転を見合わせた。改札や駅前のバス乗り場などには人があふれ、約23万6千人に影響した。

これに先立つ7日夜には首都圏で発生した最大震度5強の地震で鉄道ダイヤが大幅に乱れ、主要駅は帰宅困難者でごった返した。入場規制などによる混乱は一部で翌日まで続き、災害に対する備えの弱さが図らずも露呈した。

原因は違っても利用客に不便を強いた点は同じである。

JR東の鉄道網は首都圏を支える主要な交通インフラだ。災害時の乗客対応や鉄道施設の安全確保が十分だったかどうかを改めて検証し、原因の究明と再発防止を徹底すべきである。

残念なのは過去の教訓が生かされていないことだ。

災害時の帰宅困難者は東日本大震災を想起させる。駅構内の入場規制や一時的な待機場所の少なさが混乱を助長する面もあった。道路や駅前広場などの混雑状況についても利用客に周知を図る必要性がある。今回、JR東や沿線自治体が、こうした情報を帰宅困難者に伝え、適切に対処していたか疑問が拭えない。

変電所火災への備えも同様である。JR東では東京都内で、平成6年に新宿区の変電所、18年には千代田区の変電所、20年には国分寺市の変電所で火災が起きている。今回は変圧器を収納するトランス室が焼失したというが、過去の火災がもたらした影響の大きさを踏まえて万全の安全対策を講じていたのか。

鉄道会社の変電所は運行に欠かせない重要施設である。出火した施設は基幹変電所であり、複数の変電所を通じて首都圏を走る各路線に電気を送っている。ひとたび失火すれば影響が甚大になるだけに特段の警戒が必要である。

今回は外からの人の立ち入りや作業ミスは確認されておらず、機器トラブルの可能性もある。そうであるなら、施設老朽化などを含めて再発防止に向けた総点検が必要だ。変電所は、サイバー攻撃を含むテロの標的になり得る。警備体制の見直しも急がれる。