【がん電話相談】前立腺がん、放射線治療をした方がよい? - 産経ニュース

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前立腺がん、放射線治療をした方がよい?

Q 60代男性です。令和元年9月に前立腺がんと診断されました。その時のPSA(前立腺特異抗原)の値は57、がんの悪性度を示すグリーソンスコアは4+3=7(悪性度は中程度)、がんの進行度を示す「TNM分類」はT3b(精囊=せいのう=浸潤あり)N0(リンパ節転移なし)M1(遠隔転移あり)で、ステージ4と診断されました。

A 遠隔転移ありとは驚かれたことでしょうが、どこに転移していましたか。

Q 胸骨です。

A その後、ホルモン治療を始めたのですね。

Q はい。同年10月からゴナックス注射とビカルタミドの内服を始めました。令和2年10月にはPSA値が0・08となり、これが前立腺がんと診断されて以降、最も低い値です。

A その後、今年8月のPSA値は0・34と上昇してきたようですね。

Q はい。8月には前立腺のMRI(磁気共鳴画像装置)検査も受けました。結果は聞いておりません。9月のPSA値は0・48でした。PSA値が上がってきているため、主治医から放射線治療の検討をと打診されましたが、放射線治療をする段階でしょうか。

A 主治医は前立腺と、転移先の胸骨のどちらに放射線治療を行うと言っていましたか。

Q 分かりません。

A 6月の骨シンチグラフィー検査では胸骨転移巣に軽度の改善が見られているようですね。しかし、前立腺のMRI検査の結果が分かりませんので断定はできませんが、このような場合、原発巣である前立腺から先に放射線治療を行うのが一般的です。その後の経過を見て、転移のある胸骨への放射線治療追加の適応を検討するのが良いと思います。

Q 最近は、比較的新しい放射線治療として、IMRT(強度変調放射線治療)とVMAT(強度変調回転照射)があるそうですが、どちらが良いでしょうか。

A 従来型の放射線治療(3次元原体照射)に比べ、IMRTは腫瘍に放射線を集中し、周辺の正常な組織・臓器への被曝(ひばく)を減らすことができます。副作用を従来型より抑えながら、より強い放射線を照射できるということです。VMATはIMRTの応用で照射ビームを変えながら照射ヘッドを回転させ、治療時間を短くできます。

前立腺がんの治療において、IMRTとVMATを比較した臨床試験はこれまでのところ確認されておらず、大差はないといわれています。通院先にあるのがIMRTであれば、そちらで十分でしょう。

Q 放射線治療で完治できますか。

A 前立腺そのものに関しては放射線治療をしっかり行えば完治を期待できますが、もちろん100%ではなく、数年後以降、再発のリスクは徐々に上昇します。

しかし、ホルモン治療単独では完治を期待できませんので、長期のがんコントロールを目指すのであれば原発巣に対する手術か放射線治療の追加です。骨に小さな転移がある相談者の状況なら、放射線治療の方が免疫力の低下も少なくて良いでしょう。PSA値0・48での放射線治療は、決して遅すぎるということはありません。

回答は、がん研有明病院顧問(泌尿器科)の福井巌医師が担当しました。

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