【主張】代表質問 安保環境悪化に切り込め - 産経ニュース

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主張

代表質問 安保環境悪化に切り込め

岸田文雄首相の所信表明演説に対する国会の代表質問が始まり、自民党の甘利明幹事長、立憲民主党の枝野幸男代表らが質問に立った。

政権選択選挙の衆院選を前にした、最後の国会論戦である。

国民の目を意識して、新型コロナウイルス対策や経済政策、外交安全保障などが論じられた。ただ、日本をとりまく厳しい安全保障環境をもたらしたのが主に中国である、という認識が誰からも示されなかったのは残念だった。

新型コロナをめぐり、枝野氏は菅義偉前政権の施策への反省点を語るよう岸田首相に迫った。水際対策の強化やPCR検査拡充などの立民の対案を披露した。

岸田首相は「コロナ病床が十分に稼働しなかったことなど、この夏の反省も踏まえ、近日中に(対応策の)全体像の骨格を示すように指示した」と述べた。反省点は病床不足だけではなかろう。首相はもっと具体的に語るべきだ。

経済政策では、岸田首相が「成長と分配の好循環」を掲げるのに対し、枝野氏は「分配なくして成長なし」と語った。岸田政権との違いを示したかったようだが、分配重視の姿勢に本質的な違いはなく、極めて分かりにくい。

日本の平和と繁栄は安全保障の確保にかかっている。甘利氏が日米同盟深化や経済安全保障、拉致問題解決の重要性を指摘し、枝野氏が「台湾海峡の平和と安定の重視」を語ったのは妥当だ。

岸田首相と甘利、枝野両氏は、自由と民主主義など基本的価値の大切さにも言及した。ならば、さらに踏み込み、基本的価値を守らなくてはならない状況を招いたのが中国の問題行動などだと指摘し、対策を論ずるべきだった。

尖閣諸島周辺での中国海警船の領海侵入だけ論じるのでは間に合わない。中国による南シナ海での人工島軍事化や台湾への軍事的威嚇、ウイグル人ら少数民族、香港への弾圧は許されないと表明してもらいたかった。

枝野氏は「表紙を変えただけでは何も変わらない」と政権交代の必要性を訴え、立民としての対案を語って政権担当能力をアピールした。だが、外交安保では日米同盟深化や防衛力充実の必要性に触れず、海上保安庁の体制強化だけを語った。現実的な安全保障政策を掲げなくては、政権担当能力を示すことにはならない。