フランスが小型原発開発へ 温暖化対策で「原発維持」を明示

フランスのマクロン大統領=7日、パリ(ロイター)
フランスのマクロン大統領=7日、パリ(ロイター)

【パリ=三井美奈】フランスのマクロン大統領は12日、2030年までの産業再生策について演説し、原子力産業に10億ユーロ(約1300億円)を投資し、小型モジュラー原子炉(SMR)開発を目指すと述べた。自身の再選をかけた来年4月の大統領選を前に、原発を国の基幹産業として維持する方針を明確にした。

マクロン氏は演説で、地球温暖化対策に即した産業投資の必要性を強調。原発分野には、国内で20万人が従事していることに触れた。SMR開発は30年までの実現が目標で、「安全性を高め、経費を抑え、核のゴミを減らすには、技術が必要だ」と訴えた。

SMRは従来の原発より出力を抑え、冷却を容易にすることで安全性を高める原発。建設経費も抑えられ、米国が開発で先行している。フランスはこれまで、独自に開発した欧州加圧水型炉(EPR)建設を国内外で進めてきたが、頑強な構造から、いずれも工期の遅れと経費膨大が問題となっていた。フランスは電力の70%を原発に頼り、原発依存度は世界一高い。

マクロン氏は12日の演説で、水素エネルギー開発への意欲も示し、「欧州は(風力など)代替エネルギーだけでは十分でない」と述べた。産業再生計画は総額300億ユーロ(約4兆円)の投資を盛り込み、ほぼ半分を原発や電気自動車など「脱炭素」関連にあてる。

欧州連合(EU)は、2050年までに温室効果ガス排出量を「実質ゼロ」とする目標をたてており、域内では原発見直しの動きが進む。フランスやフィンランド、東欧の計10カ国は11日、温暖化対策とエネルギーの安定供給には原発が必要だと訴える閣僚の連名書簡を発表した。ポーランドやルーマニアなど東欧諸国は石炭火力発電への依存脱却に向け、相次いで原発新設を発表している。

EUでは福島第1原発事故後、ドイツが22年末までに全原発の稼働停止を決定。フランスは社会党のオランド前政権が25年までに原発依存度を50%に下げることを法で定めた。マクロン政権は18年、「50%」の依存度目標を維持したまま、実現は35年に先送りにすることを決めている。