日大理事が指示「怖かった」 関連会社社長ら供述

東京地検特捜部が家宅捜索に入った日本大学本部=9月、東京都千代田区
東京地検特捜部が家宅捜索に入った日本大学本部=9月、東京都千代田区

日本大学の付属病院の建て替え工事をめぐる背任事件で、日大の関連会社の社長らが、東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)=背任容疑で逮捕=から設計業者の選定過程で評価点を改竄(かいざん)するよう指示を受けたと認め、「井ノ口容疑者が怖かった」などと供述していることが12日、関係者への取材で分かった。特捜部は井ノ口容疑者が関連会社を実質的に支配し、不正な資金流出を主導したとみて捜査を進めている。

日大の関連会社「日本大学事業部」(東京都世田谷区)は、日大から業者選定などを委託された。関係者によると、昨年2月ごろ、井ノ口容疑者は意中の都内の設計会社が評価点で1位を取れなかったことを知ると、「それでは困る。どうにかできないか」などと不満を示し、日大事業部の社長ら複数人に対し、都内の設計会社の評価点を水増しするよう指示したという。

関係者によると、日大事業部の取締役だった井ノ口容疑者は物品調達の業者選定などをめぐっても主導権を持ち、上役にあたる社長でさえ、同容疑者に逆らえない状態が続いていたとされる。特捜部は日大事業部の内部や、日大内部の意思決定過程についても調べている。

特捜部の発表などによると、評価点の改竄後、都内の設計会社は付属病院の建て替え工事の設計業務を約24億円で受注。設計会社は井ノ口容疑者の指示を受け、日大から支払われた着手金の一部2億2千万円を大阪市の医療法人グループ「錦秀会(きんしゅうかい)」前理事長、籔本雅巳容疑者(61)=同容疑で逮捕=が保有する都内のコンサルタント会社に送金したとされる。