【松岡恭子の一筆両断】九州の文化で老舗ホテルを美術館に(1/2ページ) - 産経ニュース

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松岡恭子の一筆両断

九州の文化で老舗ホテルを美術館に

長く親しまれてきた地元の老舗ホテルを訪れるのはどんな時ですか? 結婚式、会社や団体の周年行事、会議などでしょうか。誰もが知る立地、充実した施設、高品質のサービスで、安心して集まれる場所として利用されてきたのはどこも変わらないと思います。

そんなホテルの一つ、西鉄グランドホテルは福岡市の商業の中心、天神のやや西側にあります。1960年代に国内外からの来訪者が飛躍的に増え、国際都市に相応しいホテルをとの思いから「福岡の応接間」を目指して建てられ、以来半世紀、まさに社交のシンボルとして親しまれてきました。1階ロビーは角地を生かし二つの道それぞれに入り口を持ち、入りやすく風通しの良い空間です。待ち合わせや商談、ティータイムに利用した経験は多くの福岡市民が持っているでしょう。

昨今の大型複合ビルに入るホテルは高層階にロビーがあり、その存在は地面から切り離されています。西鉄グランドホテルのように周辺環境としっかりつながり、出入りしやすく、街とともに呼吸している様を、私は「地続き感」のあるホテルと呼んでいます。各地方都市の中心にあるこういった老舗ホテルが、コロナ禍で宿泊や宴会が激減し、苦しんでいると思います。

昨年秋に行った社会実験One Kyushuミュージアムは、都心の空き店舗群を一時的に借り、タイアップした周囲の店舗とともに九州の伝統文化を展示してまち歩きを誘い、にぎわいを生みました。2回目の今年は、この西鉄グランドホテルをメイン会場に開催することにしました。「地続き感」があればこそ、市民に愛される新しい使い方を実験してみる価値があると思ったからです。