宣言解除で修学旅行へ 部活動も制限緩和 「正常化」に向かう学校現場

宣言解除後初の日曜・京都 家族連れや修学旅行生ら観光客が行き交う京都・清水寺の参道 =3日午後、京都市東山区(永田直也撮影)
宣言解除後初の日曜・京都 家族連れや修学旅行生ら観光客が行き交う京都・清水寺の参道 =3日午後、京都市東山区(永田直也撮影)

新型コロナウイルスの感染者数が急速に減っている。緊急事態宣言が解除されて以降、教育現場でも部活動の制限緩和や修学旅行の決行など学校生活の「正常化」に向けた動きが目立っている。ただ、体育の運動や音楽の合唱といった感染リスクが高い授業では引き続き対策の徹底が必要。感染拡大の第6波も懸念されるため、学校側には子供たちの緊張感を保ち続ける工夫が求められている。(玉崎栄次)

「対策緩めない」

「校内の感染対策は第1波の頃からハードルを下げることなく続けている。宣言が明けたからといって緩める考えはまったくない」

東京都荒川区立第三日暮里小の末永寿宣(としのぶ)校長はこう力を込める。

今月は1日が「都民の日」で荒川区では区立小中学校の多くが休校。宣言明けの学校生活が本格的にスタートしたのは4日からだ。

授業では、宣言解除後も体育で運動の合間の待機時間や、音楽で合唱する際もマスク着用を徹底。教職員らによる校内の定期的な消毒も頻度を減らすことなく行っている。

新学期の9月からは玄関に5台の非接触型の体温計を設置し、登校時に児童自ら検温するようにした。末永校長は「宣言解除後は感染対策が緩みがちになる。自分たちの健康は自分たちで守るんだという意識を子供たちに維持させるためには、具体的な行動に落とし込むことが大切」と話す。

段階的に日数増

同校では、宣言が解除されたことで「正常化」につながる動きもみられた。7月から延期されていた「移動教室」と呼ばれる修学旅行の決行だ。今月4日には5、6年生が抗原検査で陰性を確認した上で、それぞれ山梨県の清里高原と静岡県下田市の臨海部にバスで出発。例年の2泊3日から1泊2日に短縮されたものの、「大喜びで出かけていった」(末永校長)。

一方、高校などでは、時間や日数を減らしていた部活動の制限を緩める方向に向かっている。埼玉県教育委員会は県立校で宣言中に「平日のみ週2回、90分以内」としていた制限を「平日のみ週4回、2時間以内」に変更した。

県教委は16日以降は土日のいずれか1日も活動できるようにする考えで、このように段階的に緩和に乗り出す自治体は少なくない。

第6波への不安

宣言の解除後も、文部科学省は警戒を呼びかけている。体の接触や大きな発声などを伴う活動の制限▽大きな声での会話や応援の禁止▽集団での飲食を控える-などの対策の徹底を学校現場に改めて通知した。

第5波では、感染力の強いデルタ株の子供への感染が問題化した。冬に向けて受験シーズンも本格化するため、高校生らを対象に優先枠を設けてワクチン接種に乗り出す自治体もある。

接種の対象は12歳以上であるため、小学生の多くは消毒やマスク着用といった基本的な対策で感染を防ぐことになる。

神奈川県は、12歳未満の子供(約77万人)がいる家庭に抗原検査キットを配布。本人や家族に発熱などの症状が出た際に自宅で検査して登校を控えさせることで学校などでのクラスター(感染者集団)発生の抑制につなげるねらいだ。

感染者は急激に減りつつある。東京都で11日に報告された新規感染者は今年最少の49人。過去最多となった8月13日の5773人の100分の1以下となった。

とはいえ、学校現場の危機感は依然として根強い。都内の公立小に勤務する女性教員(38)は「学校が感染源となって家庭に波及させないように注意を払っているが、第6波の不安はぬぐえない」と話した。