川重と日立造船、トンネル掘削で統合新社 国内インフラ先細り、海外に活路 - 産経ニュース

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川重と日立造船、トンネル掘削で統合新社 国内インフラ先細り、海外に活路

日立造船のシールドマシン
日立造船のシールドマシン

トンネル掘削に使う「シールドマシン」で国内2位の川崎重工業と3位の日立造船が、今月1日付で事業を統合した。インフラ整備需要の減少による国内市場の縮小を見据え、両社の経営資源を集約することで生き残りを図る。今後は成長が見込まれる海外市場に活路を求めていく考えだが、国内首位を堅持するJIMテクノロジー(川崎市川崎区)の存在に加え、中国勢も低価格攻勢をかけており、もう一段の競争力強化が欠かせない。

川崎重工と日立造船は、折半出資による新会社「地中空間開発」(大阪市北区)を設立。営業部門や設計部門を集約した。生産は引き続き川崎重工が播磨工場(兵庫県播磨町)、日立造船は堺工場(堺市西区)と有明工場(熊本県長洲町)でそれぞれ行う。

シールドマシンは、シールド掘削機とも呼ばれる。前面の金属製カッターを回転させて地中を掘り進め、道路や鉄道のトンネルを建設する大型機械で川崎重工は昭和32年、日立造船は42年に事業を始めた。

川崎重工は「超大口径」と呼ばれる直径14メートル以上の超大口径の機種に加え、岩盤や長距離掘削に適した機種に強みを持ち、地下水の高い水圧に耐えられる機種も得意とする。一方、日立造船は直径5メートル未満の小口径機種から超大口径まで、ラインアップの幅広さが強み。円形だけでなく角形などさまざまな形状をそろえているのも特長で、国内外を合わせた納入実績は川崎重工が1400基以上、日立造船が1300基以上に上り、両社は統合で補完関係が築けるとみている。

地中空間開発の売上高は単純合計で130億円超。IHIとJFEエンジニアリング、三菱重工業の事業統合で平成28年に誕生したJIMテクノロジーに次ぐ規模だ。かつて国内5社が手掛けていたシールドマシン事業は、今回の統合で2社に実質集約された。

シールドマシンの国内市場は先細りが予想されている。川崎重工によると足元の国内需要は比較的堅調だが、リニア中央新幹線や地下鉄の工事が減り始める令和7年ごろからは需要が減少する見通しだ。新型コロナウイルスの感染拡大で鉄道各社の経営が悪化する中、予定されている工事に影響が及ぶ可能性も否めない。

一方、海外ではインドや東南アジアの地下鉄整備を中心に継続的な拡大が見込まれており、市場規模が国内の10倍程度に上るとの見方もある。

もっとも、海外では世界首位の独ヘレンクニヒトが強いほか、ここ10年は中国勢が急速に台頭している。JIMテクノロジーも海外展開を加速しており、平成30年にはインドやタイなどの新興国に強い香港のテラテックを子会社化している。川崎重工出身の平山真治・地中空間開発社長は「両社は経験値が非常に高い。人と技術を融合させ、新会社の飛躍につなげたい」と意気込むが、川崎重工、日立造船ともに統合前の海外受注は多いとはいえなかっただけに、厳しい船出となる可能性もある。(井田通人)