社会と自然の魅力つなぐ 動物行動学会日高賞を受賞した昆虫写真家

花畑で昆虫の写真を撮る海野和男さん=長野県小諸市(原田成樹撮影)
花畑で昆虫の写真を撮る海野和男さん=長野県小諸市(原田成樹撮影)

昆虫写真家 海野和男さん(74)

昆虫写真家として活躍する海野和男さん(74)は、日本動物行動学会から令和3年度の同学会日高賞を受賞した。動物行動学者、日高敏隆氏の名を冠する賞。同氏の下で一度は学者を目指しながら別の道を歩んだが、行動や生態を切り取る作品が学問的に認められた格好だ。活動の中心となっている長野県小諸市で昆虫の魅力などを語ってもらった。

子供の頃は東京・新宿の公務員住宅で育ちました。それぞれの家が花を植えていて、やってくる蝶をよく見ていました。ゾウムシも好きで、昆虫を飼ったり、標本にしたりしていました。

カメラは、小学5年で普及機のフジペットを買ってもらいました。1メートル離れる必要があり虫なんか撮れない。ミニカーをパラフィン紙に投影して、それを撮影するなどして遊んでいました。虫が撮れるカメラは、大学進学の前祝いに買ってもらいました。

東京農工大では、人気だった日高さんに卒論指導をしてもらいました。ある日、日高さんが雑誌に連載していた「昆虫という世界」に写真を1枚使ってくれました。その掲載料が破格で、次の日に昆虫写真家になると決めました。当時は学生運動が盛んで、学者は社会のことを考えていないという思いもあり、昆虫に関わりながら一般社会とつなぐ職業として格好だとも思いました。

長野県は、標高ゼロこそないものの、3千メートル超まで多様な自然があり、昆虫の種類も多く、東京生まれの自分にとって憧れ。30年前から都内の自宅とは別に小諸にアトリエをもつようになりました。場所は、フクロウに食われたと思われるミヤマクワガタの大あごが落ちていて決めました。