パリ五輪代表争い「完璧に優劣がつくまで競わせる」柔道の鈴木桂治新監督、単独インタビュー

インタビューに応じる柔道男子日本代表の鈴木新監督=東京都多摩市の国士舘大(森田景史撮影)
インタビューに応じる柔道男子日本代表の鈴木新監督=東京都多摩市の国士舘大(森田景史撮影)

柔道男子日本代表の新監督に就任した鈴木桂治氏(41)が産経新聞の単独インタビューに応じ、全7階級での金メダル獲得を目標に掲げる2024年パリ五輪代表争いについて「完璧に優劣がつくまで競わせる」との方針を明らかにした。好きな監督にはプロ野球界で闘将と呼ばれた星野仙一氏を挙げ「選手のため、勝負のために、情熱と戦う心を持っていたい」と力を込めた。(運動部 森田景史、田中充)

--パリ五輪まで3年を切っての監督就任

「自意識過剰といわれても、『次の監督は自分しかいない』と思っていた。東京五輪で担当コーチだった最重量の100キロ超級で金メダルを取れなかった悔しさもあり、日本柔道の強化、全階級での金メダル獲得への思いは誰よりも強い自負がある。8月中旬にオファーをいただいたときには、すぐに腹をくくった。1日も無駄にしたくないので、(9月28日の)発表が待ち遠しかった」

--通常より1年短い期間での代表争い。影響は

「まずは視野を広く持って、各階級の選手層を確認したい。東京五輪代表組がパリまで安泰なら、鈴木体制は失敗だと思っている。若手の台頭を期待している。理想はライバル同士が常に背中合わせでいること。同じ階級の代表のすごみを肌で感じ、刺激をもらうことで強くなれる。コロナ禍で強化合宿がなかなかできないが、そういう状況をどう作るかが課題だ」

--前任の井上康生監督は代表発表の際、争いに敗れた選手の名前を挙げて号泣した。代表監督には非情さも求められる

「コーチ時代から選手に嫌われたくないと思ったことはなく、非情さは少なからず持ち合わせているつもり。選手のためにも、パリ五輪の代表争いは少しでもわかりやすい形で決着をつけたい。そのために、優劣がつくまで競ってもらう。実力が拮抗(きっこう)すれば、同一大会にも派遣する。一方で、決着がついたと判断したら、それ以上の余計な試合はさせない。五輪に向けて選手に求めるのは結果。五輪を目指す以上、日の丸を背負うにふさわしい人間性は持ち合わせていて当たり前だと思っている。代表は結果を求める世界であり、勝利至上主義で良いと考えている」

--日本男子代表で掲げるスローガンは

「『継続、継承』。井上監督時代の9年間で出来上がった新しい代表の形を引き継ぐ。従来の厳しい鍛錬だけに偏ることなく、データも取り入れた合理的なスタイルの上に、必要なことがあれば変化を加えたい」

--気分転換の趣味は

「趣味はたくさんある。ブラックバス釣り、ゴルフ、自宅の庭で家族とのバーベキュー、読書も海外遠征のときには文庫本5、6冊を持ち込む。指導者として体作りも大切だと思っていて、筋力トレーニングも継続している。110キロある体重を来年3月までに100キロまで絞りたい」


■鈴木桂治(すずき・けいじ)1980年6月、茨城県生まれ。2004年アテネ五輪男子100キロ超級金メダル。03、05年の世界選手権で優勝し、全日本選手権は4度制覇。12年秋から日本男子の重量級担当コーチを務め、21年10月、日本男子監督に就任。国士舘大総監督を兼務。