大統領選候補に李在明氏を選出、韓国与党 対日強硬発言で知られ

【ソウル=桜井紀雄】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の与党「共に民主党」は10日、来年3月の大統領選候補を決める予備選の最終結果を発表し、李在明(イ・ジェミョン)京畿道(キョンギド)知事を党の公認候補に選出した。李在明氏は10日のソウル地域を含め、これまでの予備選の累積得票数で過半数を得て李洛淵(イ・ナギョン)元首相らを破った。

保守系最大野党「国民の力」も予備選を進めており、11月上旬にも候補を選出する。李在明氏は大統領選本選で政権交代を掲げる国民の力の候補と事実上の一騎打ちとなる見通しだ。

李在明氏は弁護士出身。歯にきぬ着せない物言いで人気を集め、日本との歴史問題に関しても強硬な発言で知られる。新型コロナウイルス禍での道民への支援金支給などで素早い対応を見せ、実行力をアピールした。主な政策では、国民に最低限の所得を保障する「ベーシックインカム」の導入を提唱している。

李在明氏は、文大統領と距離があり、党内基盤の弱い非主流派だ。だが、文政権の経済政策に批判が相次ぐ中、現状からの変化を期待する層の支持も取り込んだとみられている。

李在明氏には、京畿道・城南(ソンナム)市長時代に進めた官民合同の都市開発事業をめぐる疑惑が持ち上がっているが、予備選に大きな影響は与えなったもよう。ただ、捜査の進展次第では、李在明氏への打撃となる可能性がある。

世論調査会社の韓国ギャラップが8日に発表した大統領選候補の支持率調査では、李在明氏が25%で首位に立っている。国民の力の候補では、文政権と対立して辞任した尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長が20%で2位。前身政党の代表も務めた国会議員の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏が12%で3位だった。

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