【川村妙慶の人生相談】母を問い詰める快感と後悔 直したい - 産経ニュース

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川村妙慶の人生相談

母を問い詰める快感と後悔 直したい

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真
相談

40代、女性。昨年父が亡くなり、70代の母と2人暮らしです。春に無職になってから、母に対してイライラを爆発させることが増えました。

そもそも私には母をどこか見下しているようなところがあります。例えば、毎日体を洗わない、口臭に気づかない…だから「衛生観念が低い」と。私は、自分が抱くコンプレックス(無職、独身)を、母の足りない部分のせいにして八つ当たりしているのだと感じます。

ある時、私が間違いを問い詰めた際、母はおびえた表情を浮かべました。それを見て、一瞬優越感を感じて、すぐに後悔しました。

世界で一番大事にしなければならない人を、一番傷つけ、ののしってしまいます。自力ではどうしても直りません。アドバイスをお願いします。

回答

ようこそおたずねくださいました。優しく、親思いだからこそ、母を傷つける自分が情けなくて許せない。一方、父さまを亡くしたあなたには、「母を守らないと」との思いもあって、それが母さまの行動への指摘につながってしまうのかもしれません。

ところで、無職、独身であることをあなたは気にしているようですが、無職や独身は果たして悪いことでしょうか? 親鸞聖人は阿弥陀仏のお徳をたたえた文の中で、「一切善悪の凡夫人」とおっしゃいました。凡夫は、他人や自分の感情、価値観に振り回されている人のことです。優劣、勝ち負け、損得などで、自分や他人の人生を「善い悪い」と判断してしまう人を指しています。

あなたは「〇」と視力検査の記号のような「C」があったとき、どちらがより気になりますか。一部が欠けた「C」が気になってしまうのではないでしょうか。あなたや母さまも今、そんな欠けたところにだけ目が向いてしまっているのかもしれないですね。まずはそれをやめてみましょう。

人間は誰しも、心の中に「かんしゃく玉」を持っています。母さまにイラッときて、かんしゃく玉をぶつけたくなったとき、「ちょっと待てよ」とひと呼吸置いて立ち止まり、「く」の字を取り除いてみましょう。すると「かんしゃ」になりますね。母さまには、あなたを産み、育てるために流した涙があったはずです。そのことに気持ちを向けてみてください。そして食事のときには「これおいしいね」と話しかけ、お菓子があったら「半分ずつに分けて食べよう」などと、母さまと共有してみてください。そんな会話から小さな幸せが見つけられるのではないでしょうか。

回答者

川村妙慶 僧侶兼アナウンサー。昭和39年生まれ。ラジオのパーソナリティーとして活動するほか、ブログで法話を日替わり更新中。著書に、「泥の中から咲く 身と心をほぐす18の知恵」(NHK出版)や、「人生後半こう生きなはれ」(講談社+α新書)などがある。

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