産経抄

10月10日

地震の影響でJR品川駅ではタクシーを待つ人々が列をつくった=8日午前0時25分、港区(桐山弘太撮影)
地震の影響でJR品川駅ではタクシーを待つ人々が列をつくった=8日午前0時25分、港区(桐山弘太撮影)

東京大空襲で家の近くに焼夷(しょうい)弾が落ちたとき、作家の吉村昭はリュックサックを背負って外に出た。当時10代の少年である。前もって非常食や衣類を入れておく手際の良さだったが、「荷物など担ぐな。手ぶらで逃げろ」となぜか父に怒鳴られた。

▼関東大震災(大正12年)では、荷車を押して東京・本所の広場に逃れた約4万人が焼死している。火の粉が荷物に燃え移り、被害が広がったのを父は覚えていた。大火が相次いだ江戸期には、幕府が「出火時に家財を運ぶ者は召し捕る」と取締令まで布告している。

▼火に泣かされ続けてきた街ゆえの、避難心得だったろう。先人が何度も同じ轍(てつ)を踏み、痛い思いをしてきたことを災害史は教える。今回もまた「いつか来た道」をたどったらしい。都心のターミナル駅周辺には帰宅困難者があふれ、タクシー待ちの大行列をなした。

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