【正論11月号】悪夢の民主党政権を忘れるな 国民政党とは八方美人にあらず 産経新聞政治部編集委員兼論説委員 阿比留瑠比 - 産経ニュース

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正論11月号

悪夢の民主党政権を忘れるな 国民政党とは八方美人にあらず 産経新聞政治部編集委員兼論説委員 阿比留瑠比

立憲民主党の安住淳国対委員長(春名中撮影)
立憲民主党の安住淳国対委員長(春名中撮影)

※この記事は、月刊「正論11月号」から転載しました。ご購入はこちらをクリック

またか、それにしても突っ込みどころが満載だな。何でも思い通りにしないと気が済まない幼い強権体質は、民主党政権当時から変わっていない-。立憲民主党の安住淳国会対策委員長が九月十五日、記者団に語ったセリフへの感想である。

朝日新聞など各種報道によると安住氏はこの日、自民党総裁選の動向を伝えるテレビの情報・報道番組の報道ぶりについて、「自民党一色になっている」と苦言を呈した。また、「総裁選は重要な選挙だが、総選挙を控えている状況を全く理解していない」と批判し、「個別の番組についてチェックさせてもらう」と「検閲」を辞さない考えも表明した。放送内容が問題だと判断した場合には放送倫理・番組向上機構(BPO)への申し立ても検討するという。

これは、共産、国民民主両党の国対委員長との会談後の言葉なのだが、きっかけは十日放送のTBSの情報番組「ひるおび!」である。ここで出演者の八代英輝弁護士が日本共産党について「まだ暴力的な革命というのを党の要綱として廃止していない」と語った。

その後、共産党からの強い抗議を受けて同番組は十三日の放送で発言内容に関し、誤りがあったとして謝罪した。十三日の放送では、同局の江藤愛アナウンサーが「日本共産党の綱領にそのようなことは書かれていませんでした。訂正しておわびいたします」と謝罪し、八代氏も謝罪したが、野党側はそれでも不十分だと圧力をかけたのである。

その結果、八代氏は十七日の番組で再び謝罪させられたわけだが、八代氏の十三日の次の発言にそれほどの問題があるだろうか。

「先週の私の発言についてですが、私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした。一方、日本共産党はそれをたびたび否定していることも併せて申し上げるべきでした。申し訳ありませんでした。テレビで発言する者として、今後はより正確に、バランスに配慮し言葉に責任を持っていきたいと思います」

その通り、政府は今年六月十一日の閣議で、日本維新の会の鈴木宗男参院議員の質問主意書に答えて、共産党について次のような答弁書を決定している。

「日本国内において破防法に規定する暴力主義的破壊活動を行った疑いがあり、いわゆる『敵の出方論』に立った暴力革命の方針に変更はないものと認識している」

八代氏のいうように、政府は公式見解で、共産党が暴力革命方針を保っているとの認識を示しているのである。公明党もホームページでこう指摘している。

「公安調査庁は共産党について、一九五一年に採択した『五一年綱領』と『軍事方針』に基づいて『武装闘争の戦術を採用し、各地で殺人事件や騒擾(騒乱)事件などを引き起こし』、その後も『暴力革命の可能性を否定することなく、現在に至っている』との見解を公式に発表しています。同党が全国各地で凄惨なテロ行動や暴力主義的破壊活動を行ったことは歴史的な事実であり、裁判所にも認定されています」

したがって八代氏の言葉は、一部不正確ではあっても趣旨は正しい。ところが、野党の国対会談では、野党の動きを取り上げる過程での八代氏の発言について、共産党の穀田恵二国対委員長が「公党に対する侮辱だ」として問題提起したのだという。

安住氏はこれに同調し、「共産党の立場を全面的に支えていくことになった。(報道機関を)チェックするのはよくないが、暴走されたら国民を扇動する暴力装置にテレビがなりかねない」と述べた。衆院選に向けて連携を深める共産党に最大限の配慮を示したのだろうが、元NHK記者の言葉だとは思えない。

「チェックするのはよくない」と分かりつつ、言論統制を正当化するのだからあきれてしまう。ものの道理より共産党の御機嫌取りと自分たちの意向を優先させるところに、幼稚さを感じる。

蛇足だが、この問題では日頃は立憲民主党に共感と同情を寄せる朝日からも、やんわりとたしなめられていた。十七日の一面コラム「天声人語」はこう書く。

「BPOは視聴者の苦情を受け付ける機関だが、国会議員で政党幹部の立場からの発言は脅しのような印象を与える。総裁選の報道に騒ぎすぎの面はあると思うが、それは野党の低迷を映し出す鏡でもある」

ちなみにこの天声人語は、SNS上でまるで産経新聞の一面コラム「産経抄」のようだと話題になっていた。それだけ誰がどう見ても安住氏の発言はおかしいということだろう。

テレビは暴力装置

自民党総裁選報道をめぐっては、枝野幸男代表も十七日、こんな難癖をつけていた。

「われわれ国会議員の仕事は国会にある。(総裁選は午後)五時以降にやっていただきたい」

とはいえ立憲民主党は昨年九月七日には、「合流新党代表選 候補者記者会見」を午後一時から行っており、枝野氏と泉健太氏による記者会見をNHKが中継している。そのほか代表選立候補者討論会などを日中に実施しており、いつものようにブーメランが自身に突き刺さった。

枝野氏は十六日には、共産党が「敵の出方論」に立った暴力革命を選択肢から排除していないとする従来の政府見解について、政権交代を実現した場合には

変更する可能性を示唆した。国会内で記者に「枝野内閣で変更するのか維持するのか」と問われ、こう述べたのである。

「少なくとも私は、今、共産が暴力革命を目指しているとは全く思っていない」

だが、民主党政権時代も今も、共産党は公安調査庁の破壊活動防止法に基づく調査対象団体である。当時と現在の共産党はその本質が変わったとでもいうのか。それとも、選挙協力さえ得られれば相手は破壊活動を実施しかねない存在でもかまわないというのか。

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「正論」11月号 主な内容

【特集 悪夢の民主党政権を忘れるな】

国民が招いた日本の危機 ジャーナリスト・国家基本問題研究所理事長 櫻井よしこ

「小石河連合」なら保守は消滅か フロント・アベニュー 麗澤大学教授 八木秀次

国民政党とは八方美人にあらず 政界なんだかなあ 産経新聞政治部編集委員兼論説委員 阿比留瑠比

政治停滞打破する統治機構改革を 慶應義塾大学教授 松井孝治

脱デフレ実現の決意表明せよ 経済快快 産経新聞特別記者 田村秀男

正当に評価されない「仕事師内閣」の実績 産経新聞編集局編集長 佐々木美恵

新連載「元老の世相を斬る」 選挙は「看板」で戦うものじゃないよ 元内閣総理大臣 森喜朗

脱炭素で国家滅ぶ 電気料金増は製造業つぶし 一般財団法人「産業遺産国民会議」専務理事・産業遺産情報センター長 加藤康子

皇室の存亡担う新内閣の重責 君は日本を誇れるか 作家 竹田恒泰

【特集 カブール陥落】

邦人救出阻む憲法の改正を 東洋学園大学客員教授・元空将 織田邦男

アフガニスタン脱出記 阿鼻叫喚の11日間 産経新聞アフガン人通信員 ズバイル・ババカルヘイル

米軍撤退で得するのは誰か インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー

逃げ足の速さにみる中国の深い浸透 ジャーナリスト 濱本良一

ユーラシア大陸のへそ アフガニスタンを知る 聞き手 本誌編集長 田北真樹子

拓殖大学海外事情研究所客員教授・元駐アフガニスタン大使 高橋博史

軍事優先が招いた自立喪失の悪循環 元駐アフガニスタン大使 高橋礼一郎

「インド太平洋憲章」日本主導で起草を 大阪市立大学名誉教授 山下英次

真実の上に立つ日韓関係を モラロジー道徳教育財団道徳教育研究センター教授・麗澤大学客員教授 西岡力

TBSねじ伏せて〝本質〟偽る共産党 元板橋区議(元日本共産党区議団幹事長)松崎いたる

【特集 中国で起きていること】

「在日ウイグル人証言録③」天の下の巨大な牢獄 評論家 三浦小太郎/証言1 エイティカル(仮名)「生き残るための苦渋」/証言2 ムハマット「変わり果てた母」/証言3 タランチ「収容所の外の牢獄」

習近平が始めた第二の文化大革命 評論家 石平

北戴河会議で異変か 〈チャイナ監視台〉 産経新聞台北支局長 矢板明夫

偉大なるシナ文明を抹消する中共政権 明星大学名誉教授 山下善明

【特集 武漢ウイルスとの闘い】

「天然起源」主張する生命科学者を監視せよ 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀

台湾が鎮圧に成功したワケ 『国会議員に読ませたい台湾のコロナ戦』著者 藤重太

実体を伴わなかった五輪の「安心・安全」 東京オリンピック都市オペレーションセンター医療統括、杏林大学医学部救急医学主任教授 山口芳裕

複合災害にも対応できる感染症と天災に強い社会を ニューレジリエンスフォーラム第1次提言を公表 事実に基づくDV認定を 長崎大学准教授 池谷和子