主張

スポーツの秋 子供の体力に関心払おう

秋晴れの下、各地の公園では子供たちの歓声が響いている。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除され、外遊びやスポーツを楽しむには絶好の季節を迎えた。

昨年は大半の公園遊具が使用禁止となり、子供たちが自由に遊べない時期もあった。そのような制約は、今はない。

感染の再拡大には引き続き注意しつつ、子供たちにはできるだけ外に出て、体を動かす習慣を取り戻してもらいたい。

スポーツ庁が実施した令和2年度の体力・運動能力調査では、握力や50メートル走などの体力テストの合計点(平均値)は、小学1~6年でおおむね前年度を上回り、中学・高校はほとんどの年代で下回る結果が出た。コロナ禍でサンプル数が例年の6分の1と少なく、同庁は「コロナ禍の影響を評価するのは難しい」としている。

だが、外に出られない期間が続いたことで、人々の生活習慣は大きく変わった。特に子供の体への影響は、時間差で表れることを忘れてはならない。

子供の運動神経は5歳までの間に、大人の約8割まで発達する。3~8歳児は鬼ごっこなどを通じて運動神経を養うといわれ、外遊びの経験に乏しい子は転ぶ際に正しく受け身が取れないなど、けがをしやすいことも知られている。同庁の調査対象となっていない就学前の幼児を含め、コロナ禍の制約を味わった子供たちの体力には長期的な観察が必要だろう。

子供が自由に遊べる環境の整備も欠かせない。東京都世田谷区が区内の公園4カ所で展開する「プレーパーク」が参考になる。木に登ったり、自分の背丈の倍以上もある小屋の屋根に上ったりする子供たちの歓声で平日もにぎわい、毎年、延べ20万人前後が利用している。

区の委託を受けて運営するNPO法人「プレーパークせたがや」によれば、できるかぎり禁止事項を設けず、「挑戦する機会」「けがをする危険」を含めて子供たちに選択肢を提供しているという。子供の冒険心を育むことは、運動能力だけでなく生きる力を高めるとの考え方だ。

子供たちの歓声に、近隣住民が苦情を訴えることも近年は珍しくない。不寛容な社会が、外遊びの場を奪っている面もある。「子供の体力」は大人の意識を映す鏡であることを忘れてはならない。