【書評】『発酵食品の歴史 ビール、パン、ヨーグルトから最新科学まで』 - 産経ニュース

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書評

『発酵食品の歴史 ビール、パン、ヨーグルトから最新科学まで』

農耕開始から時を置かずに生まれ、数千年にわたり人類の食事を支え続けている発酵食品。本書はビールやパン、チーズなど西洋の主要な発酵食品の発見から現代の工業製品化までの歴史をたどる。

酵母や細菌、カビといった目に見えない微生物の働きを利用する発酵は、長らくメカニズムが解明されず、もっぱら職人の経験に頼っていた。転機は19世紀の微生物学の飛躍的発展で、それは食品の品質安定化と大量生産という巨大な恩恵をもたらしたが、同時に食品の無個性化や労働者階級の栄養の偏りも生んだ。人類史における発酵食品の存在の重さが理解できる一冊。(クリスティーン・ボームガースバー著、井上廣美訳/原書房・2750円)