「お客さんの喜びが勲章」今月も高座に 柳家小三治さん

柳家小三治さん
柳家小三治さん

柳家小三治さんは東京都新宿区出身。昭和34年3月、五代目柳家小さんに入門し、若い頃から古典落語に精進、44年の真打ち昇進では数多くの先輩落語家を抜き去る抜擢(ばってき)で落語ファンを驚かせた。

「いかにも面白くなさそうな顔で笑わせる」滋味あふれる古典落語は、師匠・小さんの教えだった「芸は人なり」を体現。落語の前に披露する批評精神とウイットに富んだ「まくら」も評判で、まくらを集めた本も出版された。平成22年の落語協会会長在任時は、当時の若手を理事に抜擢し、世代交代の土台を作った。

17年に紫綬褒章、26年に旭日小綬章を受章、同年には古典落語では3人目の重要無形文化財保持者(人間国宝)にも認定され、第一人者の座を不動のものにしたが、「寄席や落語会に足を運んでくださるお客さん一人一人が喜んでくださることが最高の勲章」と、高座を大切にする姿勢は最後まで変えることはなかった。

クラシック音楽、唱歌、スキー、オートバイ、カメラなど多趣味でも知られ、人生を楽しむ名人でもあった。

最後の高座は今月2日、府中の森芸術劇場(東京)での「猫の皿」。12月にも出演予定があり、まさに突然の別れだった。事務所によると、小三治さんは亡くなる当日まで次の高座を楽しみにしていたという。