【いきもの語り】サンシャイン水族館のケープペンギン - 産経ニュース

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いきもの語り

サンシャイン水族館のケープペンギン

ケープペンギンの飼育を担当する與倉陵太さん
ケープペンギンの飼育を担当する與倉陵太さん

ペンギンのおなかはどうして白いのだろうか。背中はなぜ黒いのか…。

真上を見上げるように設けられた水槽の中をのびのびと泳ぎ回るペンギンを目にしながら、普段なら思いもしない、そんな疑問に考えをめぐらせた。

サンシャイン水族館(豊島区)には、50羽ほどのケープペンギンが飼育されている。昭和62年からだというから、飼育の歴史は古い。

「カウンターシェーディングというんですよ」。飼育担当の與倉(よくら)陵太さん(24)が疑問に答えてくれた。

絶滅が危惧されているケープペンギン=豊島区のサンシャイン水族館
絶滅が危惧されているケープペンギン=豊島区のサンシャイン水族館

ペンギンが水中でより深い場所を泳ぐ魚を狙うとき、腹の白さが背中越しに差す光と一体化して気づかれにくい。逆に自身が捕食者に上空などから狙われたときも、背が黒ければ海の暗さにまぎれて身を守ることができる。一説にはそんな理由があるそうだ。

「ペンギンに限らず、イルカやサメもそうですよね」と與倉さん。動画投稿サイト「ユーチューブ」などで、ペンギンなどの生態に関する情報を分かりやすく発信している。

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コミカルな様子から人気が高いペンギンだが、その飼育はなかなか大変だ。

例えば、平らな硬い地面にずっと棒立ちしていることが多いため、足の裏に体重がかかり、血行が悪化して〝マメ〟ができてしまう。「趾瘤(しりゅう)症」という病気だが、放置すると、重症化して歩けなくなったり、死んでしまったりすることもある。だから、あえて地面にデコボコをつくり、ペンギンたちを積極的に動かすようにしている。

ケープペンギンはアフリカ南部の沿岸に生息する種で、絶滅が危惧される希少な動物だ。国際自然保護連合(IUCN)で絶滅の恐れがある「レッドリスト」にも掲載されている。

1920年代に200万羽がいたとされるが、2009年には5万羽まで減少したと推計される。地球温暖化に伴う海水温度の上昇や、餌となるイワシの乱獲などさまざまな理由が背景にあるという。

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與倉さんはペンギンの飼育担当となって3年目。まったく知識のない状態から飼育にあたることになり、国内の書物や資料にとどまらず、自ら海外の英語文献を翻訳するなど、貪欲に情報を収集している。

ケープペンギンも多くの海洋生物と同様に、誤ってプラスチックごみを飲み込むなどして死んでしまうケースも目立っているという。

與倉さんは力を込めて次のように話した。

「日本ではペンギンはとても人気が高い動物だけれど、絶滅の危機にひんしていることは、あまり知られていないかもしれない。『ペンギンってかわいいな』と思ってもらうことが第一。それをきっかけにペンギンたちの置かれた状況に関心を持ってもらい、海や自然環境の大切さに気づいてほしい」(玉崎栄次、写真も)