コロナ禍の危機感が後押し 国際課税ルールの見直し合意 - 産経ニュース

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コロナ禍の危機感が後押し 国際課税ルールの見直し合意

パリにある経済協力開発機構本部(ロイター)
パリにある経済協力開発機構本部(ロイター)

経済協力開発機構(OECD)が8日、最低法人税率をめぐる大幅なルールの見直しで最終合意した。交渉参加140カ国・地域の思惑が入り乱れる中での妥結。各国当局は新型コロナウイルス禍が背中を押すこのタイミングで結果が出せなければ、10年越しの議論が漂流しかねない危機意識があった。

「100年ぶりの国際課税ルールの大転換」は、工場などの物理的拠点がない企業には課税できない時代遅れの現行ルールに対する不満が背景にある。経済格差の拡大も重なり、国境を越えたサービスで莫大(ばくだい)な利益を上げる巨大IT企業の税逃れに批判が強まった。

また、1980年代から企業誘致のため各国が競った法人税の引き下げが、期待したほど賃金の上昇や設備投資に波及しなかったことに対する反省もあった。

一方、2012年に始まった交渉は紆余(うよ)曲折をたどった。米国は2017年に発足したトランプ政権が自国経済を支える巨大IT企業を狙い撃ちにしたデジタル課税を警戒し、協議は一時中断した。ただ、バイデン政権発足後はコロナ対策に巨額の財政出動を迫られたことで、一転して税収増につながる課税ルール変更に積極的になった。

それでも、低い法人税率(12・5%)で外国企業を誘致してきたアイルランドなどの国々が反発し、7月の大枠合意には数カ国が参加を見送った。海外企業の誘致のため「経済特区」で税率を軽減してきた中国なども水面下で抵抗し、各国はウェブ会議で連日のように協議を繰り返してきた。

日本政府は、20カ国・地域(G20)でも古参の麻生太郎前財務相が、岸田文雄政権の発足で退任するまで10年近くに及ぶ議論をリードしてきた自負があった。ただ、合意の機運が高まった今回を逃せば交渉が逆に空中分解しかねないとの焦燥感もあり、〝功労者〟のメンツを潰せないと交渉筋の表情は張りつめていた。

鈴木俊一財務相は8日夜の談話で、「国際課税改革に関する議論を一貫して主導してきた。100年来続いてきた国際課税原則の見直しが、グローバルな枠組みで合意されたことを高く評価する」と胸を張った。