地元農家と連携で野菜も
コロナ禍で「今日、明日の食べ物がない」といった深刻な窮乏者に対しても、地域バンクに備蓄があれば即応可能だ。近くの支援拠点ならば、ガソリン代に困る人も救えるからだ。
また、支援物資は常温での長期保存食品が基本で、野菜などの生鮮食品はこれまでほとんど扱えなかった。地域バンクが地元の農協や農家と連携できれば、規格外野菜などの提供を受け、新しい形態や物資による支援も可能になる。
このほど開かれた甲府市、北杜市、韮崎市、都留市、富士河口湖町などの子供支援団体や、子ども食堂、支援企業などが参加した説明会では、今後3年程度でネットワーク体制を作っていく方向が示された。
月収10万円以下が6割
取り組みの拡大や強化を急ぐのは、支援を必要とする乳幼児がいる世帯がコロナ禍で極めて厳しい環境にあることが理由だ。
支援を受けた世帯のアンケート(8月公表)では、ひとり親世帯が69%を占める。世帯の1カ月の収入は「5万円以下」が20%、「6万~10万円」が42%と、10万円以下が約6割に達する。ミルクやおむつが買えない経験がある世帯は29%。養育費を受け取っていない世帯が7割を超えており、これが世帯収入の低さにつながっている。
サービス産業などで働くシングルマザーも多く、コロナによる休業で経済が停滞する中、仕事や収入源をなくしている実態も浮き彫りになっている。
フードバンク山梨は、食料支援を継続させれば、限られた収入の中でも浮いたお金を他に使えるようになるとみており、早急に全県をカバーできる体制づくりを目指す。(平尾孝)