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『東京23区×格差と階級』 詳細データで浮かぶ姿

『東京23区×格差と階級』(中公新書ラクレ)
『東京23区×格差と階級』(中公新書ラクレ)

タワーマンションで暮らす華やかな人々や、高層ビル街を闊歩(かっぽ)するビジネスパーソンがいる一方で、古びた住宅が残っている地域もあれば、ホームレスがいる地域もある。東京に出てきたばかりの頃の私は、この都市のそんな姿に驚かされたものでした。

東京に住む私たちの間には「格差」と「階級」が存在し、しかも地域によって「分断」されているのでは……。本書では、誰しもがうすうす感じている東京の「格差」と「階級」を、詳細なデータで徹底的に分析! 100点以上のグラフや写真で、23区の実態を視覚化しています。

年収1000万円以上の専門・管理職が多い地域と年収200万円未満の非正規労働者が多い地域、ホワイトカラーの独身女性やマニュアル職従事者が多い地域はどこか。その家族構成、高層住宅や戸建てに住んでいる比率は?

さらには区内での分布も紹介しています。例えば、無数の繁華街を抱える新宿区でも特に単独世帯が多い地域や、23区の東端にある葛飾区・江戸川区における情報技術職従事者の比率――といった詳細なデータまでが明らかに!

著者は自ら23区を歩き、データだけでは見落としがちな変化にも目を向けます。「下町」「山の手」という構図を超えて行き来する人々。富裕層や低賃金労働者といった「階級」を超えて共存し、交雑する地域など。

東京23区の実態をリアルに捉えるとともに、無限のポテンシャルに改めて気づくことのできる一冊です。

(中央公論新社ノンフィクション編集部 塚本雄樹)