アバディ元イラク首相と会見 「軍は過ちを繰り返すな」

会見に応じたイラクのアバディ元首相(佐藤貴生撮影)
会見に応じたイラクのアバディ元首相(佐藤貴生撮影)

イラクのアバディ元首相(69)は8日までに首都バグダッドで産経新聞と会見し、連携する民兵組織を通じてイラクへの影響力浸透を図る隣国イランについて、「(民兵組織を介してではなく)国家として関係を持つべきだ」と述べ、懸念を示した。また、イラク駐留米軍の戦闘任務終了後も米国の支援は必要だという見方を示した。

(バグダッド 佐藤貴生)

アバディ氏は「イランの影響力はシーア派のほかスンニ派などの政党、政府機関にも及んでいる」としながらも、「イランとは長い国境を接しており、関係も深い」と述べ、政府間の交渉で問題解決を図るべきだという姿勢を示した。

アバディ氏はイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が台頭した2014年に首相に就任、IS掃討を担った。当時のイラク軍は士気に欠け、一部部隊が戦わずに逃亡したため、戦闘意欲が盛んな親イラン民兵組織「人民動員隊」(PMF)と軍を共闘させる道を選んだと述べ、「欧米の友好国が快く思わないことは分かっていたが、他に選択肢がなかった」と振り返った。

イラク軍の改革を進めて規律保持を促し、兵士の士気や任務遂行力が向上したというアバディ氏は、「軍は二度と同じ過ちを繰り返さないと信じている」と強調。イラク駐留米軍の戦闘任務終了後も、精鋭の対テロ部隊を中心に治安は維持できるとの考えを示した。

ただ、ISの活動に関する国際的な情報の供給や、飛行中に地上のテロリストの会話が盗聴できる無人機の活用など、米軍の支援は引き続き必要だと述べた。

PMFはイラクの民兵組織だが、イランの命令に従う者が少なくない。アバディ氏は「PMFはイラクに忠誠を誓う組織にならなければならない」と述べ、イラクの統合に苦慮している実態を示唆した。

ハイダル・アバディ氏

1952年、バグダッド生まれ。反体制派だったシーア派政党で活動し、旧フセイン政権時代に英国に亡命。2003年、フセイン政権崩壊後に帰国。14~18年に首相。