金融所得課税に戦々恐々 国際金融都市に「水差す」 - 産経ニュース

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金融所得課税に戦々恐々 国際金融都市に「水差す」

衆院本会議で所信表明演説を行う岸田文雄首相=8日午後、衆院本会議場(春名中撮影)
衆院本会議で所信表明演説を行う岸田文雄首相=8日午後、衆院本会議場(春名中撮影)

岸田文雄首相は所信表明演説で「中間層の拡大」「分配機能の強化」を改めて訴えた。首相は「金融所得課税の見直し」を検討する方針だが、東京、大阪、福岡の各都市が実現を目指す「国際金融都市構想」に「水を差しかねない」という懸念の声が出ている。国内外から資金や金融人材を都市に呼び込み活性化する構想だが、税負担増が投資意欲を損なうとの不安があるのだ。

首相はこれまでの記者会見などで「『1億円の壁』ということを念頭に、金融所得課税についても考えてみる必要があるのではないか」としていた。

所得税は収入が多いほど税率が高くなる累進課税で、個人住民税を含む最高税率は55%(課税所得4千万円超)。一方、株を売却をして得た利益などの金融所得への課税は所得税と住民税を合わせ一律20%で、所得に占める金融所得の割合が高い富裕層ほど税率が低くなる傾向がある。この境目が「1億円の壁」とされ、金持ち優遇と批判があった。

この壁を打破するという首相のメッセージに気をもむのが、国際金融都市に名乗りを上げる東京、大阪、福岡の各都市関係者。投資、資産運用を促すために税負担軽減が必要と各地で議論してきたが、逆行する動きだからだ。

かねてから構想実現を推進してきた菅義偉(よしひで)政権の退陣で「機運は盛り下がる」(関西の財界関係者)という見方は根強かったが、新政権の動きにさっそく冷や水が浴びせられた形だ。

自治体関係者は「日本は投資を盛んにする気がないと海外から見られかねない」と不安を口にする。「どこまで課税強化するつもりなのか、状況が読めない」と先行きの不透明さへの心配もあった。

新政権発足後の株価下落は、課税強化への警戒感から売り注文につながったとの分析もある。岩井コスモ証券の清水範一シニアアナリストは「『貯蓄から投資へ』の流れに逆行しかねない」と指摘。課税強化対象に1億円以下が含まれるのかなど、今後の制度設計の議論が注目されるとしている。(岡本祐大)