一、はじめに
第205回国会の開会にあたり、新型コロナウイルスにより亡くなられた方々、そして、ご家族の皆さま方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、厳しい闘病生活を送っておられる方々に心よりお見舞いを申し上げます。
また、わが国の医療、保健、介護の現場を支えてくださっている多くの方々、感染対策に協力してくださっている事業者の方々、そして、国民の皆さんに、深く感謝申し上げます。
新型コロナとの闘いは続いています。
こうした中、このたび、私は、第100代内閣総理大臣を拝命いたしました。
私は、この国難を、国民の皆さんとともに乗り越え、新しい時代を切り拓(ひら)き、心豊かな日本を次の世代に引き継ぐために、全身全霊をささげる覚悟です。
私が、書きためてきたノートには、国民の切実な声があふれています。
ひとり暮らしで、もしコロナになったらと思うと不安で仕方ない。
テレワークでお客が激減し、経営するクリーニング屋の事業継続が厳しい。
里帰りができず、1人で出産。誰とも会うことができず、孤独で、不安。
今、求められているのは、こうした切実な声を踏まえて、政策を断行していくことです。
まず、喫緊(きっきん)かつ最優先の課題である新型コロナ対応に万全を期します。国民に納得感を持ってもらえる丁寧な説明を行うこと、常に最悪の事態を想定して対応することを基本とします。
また、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、速やかに経済対策を策定します。
その上で、私が目指すのは、新しい資本主義の実現です。わが国の未来を切り拓くための新しい経済社会のビジョンを示していきます。
国民の皆さんとともに、これらの難しい課題に挑戦していくためには、国民の声を真摯(しんし)に受け止め、かたちにする、信頼と共感を得られる政治が必要です。
そのために、国民の皆さんとの丁寧な対話を大切にしていきます。
私をはじめ、全閣僚が、さまざまな方と車座対話を積み重ね、その上で、国民のニーズに合った行政を進めているか、徹底的に点検するよう指示していきます。
そうして得た信頼と共感の上に、私は、多様性が尊重される社会を目指します。若者も、高齢者も、障害のある方も、ない方も、男性も、女性も、全ての人が生きがいを感じられる社会です。
経済的環境や世代、生まれた環境によって生じる格差やそれがもたらす分断。これが危機によって大きくなっているとの指摘があります。同時に、われわれは家族や仲間との絆の大切さに改めて気付きました。
東日本大震災の時に発揮された日本社会の絆の強さ。世界から称賛されました。危機に直面した今こそ、この絆の力を発揮するときです。
全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会を創っていこうではありませんか。
日本の絆の力を呼び起こす。それが私の使命です。