イラク総選挙10日に投票 親イラン勢力に高まる反発 - 産経ニュース

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イラク総選挙10日に投票 親イラン勢力に高まる反発

街頭に掲げられた立候補者の横断幕。今回の選挙では制度改正で女性の議席割当数が増えた=5日、イラク・バグダッド市街(佐藤貴生撮影)
街頭に掲げられた立候補者の横断幕。今回の選挙では制度改正で女性の議席割当数が増えた=5日、イラク・バグダッド市街(佐藤貴生撮影)

【バグダッド=佐藤貴生】中東のイラクで10日、国会(定数329)選挙(総選挙)が行われる。汚職拡大や経済低迷で2年前に大規模な反政府デモが起き、政治不信の高まりを受けて選挙は1年前倒しされた。イスラム教シーア派のイランと米国がイラクで展開する勢力争いの影響で、国内多数派のシーア派は分裂しており、選挙をへて情勢が安定するかは見通せない。

国会選は2003年のイラク戦争以来、5回目。18年の前回選で最大勢力となったシーア派の有力指導者サドル師の政治組織が優勢を維持しているもよう。

イランや米国の干渉を拒否するサドル師に対し、イランと連携する反米勢力もある。

前回選で2位につけたシーア派の「征服連合」を率いるアミリ氏は、親イランの民兵組織「人民動員隊」(PMF)の元司令官。PMFは14~17年にイラクの一部地域を支配したスンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の掃討に貢献し、評価を高めた。今回も一定の支持を集めそうだ。

選挙にはシーア派のほか、少数派のスンニ派や少数民族クルド人らも参加する。単独過半数の議席を確保するグループは出ないとみられ、政権発足に向けた連立交渉は数カ月かかるとの見方もある。3200人以上が立候補し、有権者は約2500万人。

19年の反政府デモでは600人近くが死亡し、政府はデモ隊の中核である若者世代の意向に沿う形で既存政党に有利な選挙制度を改正、独立系候補の当選可能性を広げて全議席の4分の1を女性に割り当てた。

ただ、国民の政治不信は根深く、投票率は低調だった前回選(約45%)を下回るとの見方もある。首都バグダッドの食料品店経営、ジャリル・サリムさん(33)は「投票には行かない。既存政党の優位は変わらず、改革も期待できない」と話した。

バイデン米政権は今年末にイラク駐留米軍の戦闘任務を終了する方針で、選挙後の治安悪化を懸念する声も聞かれる。

イラク駐留米軍施設などで相次いだロケット弾攻撃への報復として、トランプ前米政権は昨年1月、バグダッドでイラン革命防衛隊の有力司令官とPMFの幹部を殺害。イランはイラクにある駐留米軍の拠点を弾道ミサイルで報復攻撃し、緊張が高まった。

幹部を殺害されたPMFは米軍の全面撤収を要求、攻撃を続ける姿勢を示しており、昨年5月に首相に就任した情報機関トップのカディミ氏も統制できない状態だ。ISも今年に入り、自爆テロで犯行声明を出すなど勢力回復の兆しをみせている。