【ビブリオエッセー】ルポで知る凄絶な事実 「潜入・ゴミ屋敷―孤立社会が生む新しい病」笹井恵里子(中公新書ラクレ) - 産経ニュース

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ルポで知る凄絶な事実 「潜入・ゴミ屋敷―孤立社会が生む新しい病」笹井恵里子(中公新書ラクレ)

テレビのワイドショーなどで「ゴミ屋敷」を見るたびに思うのは、どんな人たち? 何を考えている? どうしてゴミの中で生活できるのか? なぜ処分しない? 数々の疑問を解消したいと、この本を購入した。

著者自らゴミ屋敷の整理業者の作業員として働き、想像を絶する現場で特殊な清掃を経験した。まさに体を張ったルポルタージュである。副題の通り、ゴミ屋敷問題は近年、クローズアップされてきた。あまり豊かでなかった私の子供時代にはなかったように思う。やはり高齢化、孤立化が進む現代の社会現象なのだろう。

紹介されている例がとにかくすさまじい。ゴミ屋敷のような環境で暮らすのは本人の好みや生き方の問題だけではない可能性が高い。「ためこみ症」という精神疾患だという。ため込む物は雑誌や書籍、新聞、食料品、空き箱などさまざまで、「手元にある物を将来の使用に備えて整理することができず、ゴミの山のように積み重なっていく状態だ」。

その症状は大きく「物を大量に集める」「整理整頓ができない」「物への執着が強くて捨てられない」の三つだと本書で大学病院精神科の教授は説明している。

ただゴミ屋敷の住人がみんな「ためこみ症」かというとそれは違う。物がたまってしまう状態の「ためこみ行動」とは別モノ。行動の要因として強迫症や統合失調症、認知症などが考えられるという。

他人事やない。私も「ためこみ行動」をしているのだ。いつかは見るだろうと集めた千枚を超える映画の録画DVD、いずれ役に立つだろうと書架を占領する資料ファイル、きっと何か使い道があるはずだと思い捨てられないガラクタの数々。そろそろ処分に取りかからねば…。

大阪府守口市 奥田時雄(73)

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