【勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一(326)】球宴対決 「バースVSアニマル」肩すかし - 産経ニュース

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勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一(326)

球宴対決 「バースVSアニマル」肩すかし

バースVSアニマルの対決は初球を中前打したバースの勝ち=1986年、後楽園球場
バースVSアニマルの対決は初球を中前打したバースの勝ち=1986年、後楽園球場

昭和61年シーズンのオールスターゲームが開幕した。最大の注目はルーキー清原和博(西武)。高卒ルーキーでの球宴出場は「打」では実に30年の榎本喜八(早実―大毎)以来。「投」を含めると46年の島本講平(箕島―南海)以来3人目。

第1戦 7月17日 後楽園球場

全セ 000 200 110=4

全パ 000 221 10×=6

(勝)石本1勝 〔敗〕金石1敗 (S)柴田1S

(本)高木豊①(石本)大石①(加藤初)

ブーマーのあと一塁の守備に就いた清原に八回、先頭打者で打席が回った。巨人・サンチェスの1―0後の2球目外角ストレートを右前安打。過去の榎本、島本はともに2打数ノーヒット。清原の初打席初安打は史上初の快挙となった。

盛り上がる約4万人の大観衆。その八回にもう一つ注目の〝対決〟が実現した。阪神の主砲・バースとアニマルが八回無死一、二塁で相対した。

実はこの2人は大の仲良し。住居も共に神戸市中央区で前年までバースが住んでいた北野町のマンションにアニマルもブーマーも住んでいる。この3人に阪神のゲイルが加わった〝4人衆〟は夜な夜な三宮界隈(かいわい)に出没。朝まで飲み明かす姿が目撃されていた。

試合前、バースがサンチェスを連れてパ・リーグベンチに挨(あい)拶(さつ)にやってきた。ブーマーが応対する。

「ランディ、最近、ちっとも三宮に顔を出さないじゃないか?」「実は家に帰ると出る気がなくなるんだ」「体でも悪いのか?」「いや、今の家が快適すぎて」「そうだろうな。庭付きの一戸建てだもんな。うらやましいよ」

そんな和やかな会話にアニマルが入ろうとしない。一声「ウオオ」といったきり、グラウンドに飛び出していった。練習後、訳を尋ねると―。

「バースであろうと、球場に入ったからには打者はみんなオレの敵だ」

オールスターやで―というと「投手と打者はそういう関係なんだ」とポンと肩を叩かれた。さぞや、見ごたえある対決を…と期待した。ところが、初球の力のないストレートをあっさり中前に弾き返されてオシマイ。

「きょうは暑くて…」とアニマル。入れ込み過ぎ? いや、格が違い過ぎたのかもしれない。 (敬称略)