首相、分厚い中間層を生み出す 所信表明演説 - 産経ニュース

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首相、分厚い中間層を生み出す 所信表明演説

衆院本会議で所信表明演説に臨む岸田文雄首相=8日午後、衆院本会議場(矢島康弘撮影)
衆院本会議で所信表明演説に臨む岸田文雄首相=8日午後、衆院本会議場(矢島康弘撮影)

岸田文雄首相は8日に初めて行った所信表明演説で、内政から外交まで山積する政治課題を幅広くすくい上げ、国民と結束して取り組む強い意欲を表明した。

前任の菅義偉(すが・よしひで)政権は、世界に深刻な影響を与えた新型コロナウイルスとの厳しい戦いを強いられた。ワクチン接種などが進む中で、新たな感染は減少の兆しを見せつつある。首相はコロナとの戦いを継続しつつ、「コロナ後」も見据えた国政の道筋を示した。

演説では、新型コロナ対策を、喫緊かつ最優先の課題として冒頭に掲げた上で、消費や投資の活性化による経済成長と富の分配を両立させ、分厚い中間層を生み出す考えを打ち出した。

また、外交や防衛の根幹となる「国家安全保障戦略(NSS)」の見直しにも言及した。北朝鮮による核・ミサイルなどの脅威が高まる現状を踏まえ、相手の攻撃力を無力化する防衛力の整備も検討するとした。軍事的な安全保障とともに、機微な情報や知的財産の海外流出など経済的な防衛策の重要性が高まる中で「経済安全保障」に取り組む構えだ。

首相が特に強調したのは国民に寄り添い、丁寧な対話を大切にする姿勢だ。自民党総裁選の期間中から一貫して「聞く力」をセールスポイントに掲げてきた。「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」というアフリカのことわざも引用し、「信頼と共感を得られる政治」を目指すことを約束した。

最重要課題に北朝鮮による拉致問題も掲げた。限られた時間の中で再会を切望する高齢の被害者家族の姿は、日本が直面する国難の象徴とも言える。すくいあげた幅広い国民の思いを、具体的成果として結実できるか。首相の決断力と実行力が問われる。(中村昌史)