「死んでいった同僚たちの功績」ドミトリー・ムラトフ氏 - 産経ニュース

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「死んでいった同僚たちの功績」ドミトリー・ムラトフ氏

ノーベル平和賞受賞が決まったロシアのジャーナリスト、ドミトリー・ムラトフ氏=7日、モスクワ(AP)
ノーベル平和賞受賞が決まったロシアのジャーナリスト、ドミトリー・ムラトフ氏=7日、モスクワ(AP)

【モスクワ=小野田雄一】ノーベル平和賞の受賞が決まったロシアのジャーナリスト、ドミトリー・ムラトフ氏(59)は、露紙「ノーバヤ・ガゼータ」創刊メンバーの一人で、現在は同紙の編集長を務める。ムラトフ氏は、ロシアでは数少ないリベラル紙であるノーバヤ・ガゼータの編集を通じ、プーチン露政権による言論弾圧や人権侵害、攻撃的な外交政策などを批判してきた。

ムラトフ氏へのノーベル平和賞の授与は、ロシアだけでなく、同様の言論統制を進める中国やベラルーシなどの強権体制を国際社会は容認しない-という強いメッセージだといえる。

受賞決定を受け、ムラトフ氏は露主要メディアに「(受賞は)私の功績ではない。ノーバヤ・ガゼータの功績であり、言論の自由を守るために死んでいった同僚たちの功績だ」と指摘。プーチン政権批判を続け、2006年に自宅アパートで殺害された同紙の女性記者、アンナ・ポリトコフスカヤさんらの名前を挙げた。賞金は難病を抱える子供の支援やジャーナリズムを守る活動に寄付するとした。

ペスコフ露大統領報道官は8日、「ムラトフ氏は有能かつ勇敢で理想に生きてきた」と祝福。ただ、露政権は言論統制を加速させており、祝福は表向きにすぎず、実際は欧米による反露キャンペーンの一環だと受け止めているとみられる。

ムラトフ氏は旧ソ連時代に記者となり、ソ連崩壊後の1993年、ゴルバチョフ元ソ連大統領が支援したノーバヤ・ガゼータの創刊に携わった。95年から編集長を務め、90~2000年代のチェチェン紛争をめぐる戦争犯罪や人権侵害を告発した。14年のロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合では、愛国心で高揚した露世論におもねらず、プーチン政権批判を展開したことで知られる。