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米特殊部隊、台湾で軍訓練 「中国侵攻」現実味に危機感

台湾海峡を通過する米国のミサイル駆逐艦と沿岸警備隊艇=8月(ロイター)
台湾海峡を通過する米国のミサイル駆逐艦と沿岸警備隊艇=8月(ロイター)

【ワシントン=渡辺浩生】中国からの軍事的脅威が高まる台湾で米特殊部隊や海兵隊が極秘裏に現地の軍隊を訓練していると米紙ウォールストリート・ジャーナルなどが7日、報じた。中国が台湾を数年以内に武力侵攻する可能性が取り沙汰され、最近の中国軍機による挑発でバイデン政権は危機感を強めている。特殊部隊派遣は台湾の自衛力のテコ入れを急ぐ米国の積極的な関与の表れといえるが、中国の反発が台湾海峡の緊張を一段と高める恐れもある。

同紙(電子版)によると、米特殊部隊や海兵隊の約20人超が少なくとも過去1年間、台湾の小規模な地上部隊を極秘で訓練している。ロイター通信も、小部隊が交代で台湾に駐留していると報じた。

米当局者の証言により、台湾での米軍の存在が明らかになるのは異例である。

朝鮮戦争(1950~53)を契機に、米国は極東の共産主義の伸長を防ぐため台湾に米軍を派遣した。1979年の米中の国交樹立に伴い、米台の同盟を定めた「米華相互防衛条約」は終了し、在台米軍は撤退した経緯がある。

同年に米議会で成立した台湾関係法に沿って歴代政権は以後、「十分な自衛能力の維持を可能とするのに必要な」武器などを供与。今年8月にはバイデン政権で初めて820億円相当の武器売却が承認された。

米台関係に詳しい専門家によると、軍事訓練も台湾関係法の想定内であり、長年米国の親台派議員らが必要性を訴えてきた。ただ、台湾を「不可分の領土の一部」とする中国の激しい反発は必至なため、秘密裏に行われてきたとみられる。

報道をめぐり国防総省報道官は「特定の作戦、関与、訓練にはコメントしない」としながら「台湾との防衛関係は中国による最近の脅威に対抗して連携を保っている」と強調した。

実際、台湾統一を悲願とする習近平政権は武力侵攻を辞さない構えで周辺での軍備増強を急ぎ、9月末以来、多数の軍用機を台湾の防空識別圏に進入させて威圧を強める。バイデン政権は「判断ミスが起きるリスクが高い」(ブリンケン国務長官)とし、偶発的な事故が衝突に発展する恐れに警戒を強めている。

このところ米国内の政策研究機関も連日、台湾をめぐる米中の軍事衝突の可能性について論争している。「6年以内に起きうる」(前米インド太平洋軍司令官)という中国の台湾侵攻の時期が「数年以内に短縮される可能性」が指摘された。

一方で、中国の侵攻を抑止する包囲網の構築は途上にあり、「台湾自らが防衛力増強の努力をもっと強める必要性がある」(コルビー元国防次官補代理)との声も根強い。小規模部隊といえども米軍の存在が表面化したのは、台湾の対中戦闘能力に対し米国が抱く「不安のしるし」(ウォールストリート・ジャーナル)といえるだろう。