デジタルや脱炭素、前政権から様変わり 所信表明 - 産経ニュース

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デジタルや脱炭素、前政権から様変わり 所信表明

第205臨時国会の衆院本会議で所信表明演説を行う岸田文雄首相=8日午後、衆院本会議場(春名中撮影)
第205臨時国会の衆院本会議で所信表明演説を行う岸田文雄首相=8日午後、衆院本会議場(春名中撮影)

岸田文雄首相が8日に衆参両院で行った所信表明演説では、菅義偉(すがよしひで)前首相が政権の最重要課題に掲げたデジタル化と気候変動対策の扱いも大きく変化した。

「全ての方がデジタル化のメリットを享受できるよう取り組む」。首相は、デジタル関連のインフラを整備して地方を再活性化させる「デジタル田園都市国家構想」の推進を表明した。自民党総裁選の公約にも盛り込まれた肝いりの政策だ。

同構想には、新型コロナウイルス禍で進展したデジタル関連政策を継続しながら、東京一極集中も解消する狙いがある。高速・大容量の通信を可能にする第5世代(5G)移動通信システムや、電子データを保管するデータセンターの整備にも言及した。

ただ、菅氏が携帯電話料金の値下げといった成果を享受しやすい政策を強調したのに比べると、抽象的な方針の羅列に終始したとの印象が拭えない。デジタル化の恩恵を国民にわかりやすく示す姿勢が求められる。

また、デジタル時代のデータ支配を進める中国への対抗を念頭に安倍晋三元首相が提唱した、「信頼性のあるデータの自由な流通(DFFT)」の実現も訴えた。デジタル庁で現在、新たなルール作りが検討されているが、同庁は動きだしたばかりだ。

菅氏は昨年10月の所信表明演説で、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、グリーン社会の実現を前面に押し出した。これに対し首相は、温暖化対策を成長につなげる「クリーンエネルギー戦略」を策定し、強力に推進すると述べるにとどめた。

今月末に開催を控える「国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)」を前に、気候変動対策で首相が「岸田カラー」を打ち出す時間的余裕は少ないのが実情だ。(大坪玲央、那須慎一)