病床確保へ法改正 首相、所信表明で強調

第205臨時国会の衆院本会議で所信表明演説を行う岸田文雄首相=8日午後、衆院本会議場(春名中撮影)
第205臨時国会の衆院本会議で所信表明演説を行う岸田文雄首相=8日午後、衆院本会議場(春名中撮影)

新型コロナウイルス感染症をめぐる「第5波」の最大の問題は、病床が逼迫したことだった。入院できずに自宅で死亡するケースが相次ぎ、病床を確保できても医療従事者が足りず、実際には稼働していないケースも少なくなかった。

このため、岸田文雄首相は所信表明演説で「何が危機管理のボトルネックだったのかを検証する」と強調し、「病床と医療人材の確保、在宅療養者に対する対策を徹底する」と訴えた。病床などの医療資源の確保に向け、法改正を行う方針も示した。

人流抑制のための法改正にも言及したが、欧米などで行われていたロックダウン(都市封鎖)のような強い措置には否定的で、具体的な対応は今後検討する。

所信表明には「司令塔機能の強化」も盛り込んだものの、総裁選で訴えた「健康危機管理庁」創設には触れなかった。厚生労働省内には慎重論がくすぶっており、関係省庁との調整が難航する可能性がある。新組織の創設は中長期的な課題になりそうだ。

このほか、3回目のワクチン接種に向けて準備を進めるとともに、経口治療薬(飲み薬)の年内の実用化を目指す考えを表明した。

「予約不要の無料検査の拡大に取り組む」とも強調したが、厚労省幹部は「いつでもだれでもというのは際限がない。費用もかかる」としており、公費で負担する行政検査の対象を拡大する形で対応する可能性が高い。その際、対象地域や業種などの選定で戦略が問われることになる。

菅義偉(すが・よしひで)前首相は発信力が弱く、国民に危機感が伝わらないという批判があった。首相は「国民に納得感を持ってもらえる丁寧な説明を行う」と述べた。対策が多岐にわたることから「全体像」を早急に示し、国民が先を見通せるようにする。(坂井広志)