ドゥテルテ政権批判「沈黙は共犯」マリア・レッサ氏 - 産経ニュース

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ドゥテルテ政権批判「沈黙は共犯」マリア・レッサ氏

ノーベル平和賞受賞が決まったフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサ氏=8日、マニラ(ロイター)
ノーベル平和賞受賞が決まったフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサ氏=8日、マニラ(ロイター)

【シンガポール=森浩】ノーベル平和賞の受賞が8日決まったフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサ氏(58)は米CNNテレビのマニラ支局長などを経て2012年、ニュースサイト「ラップラー」を共同創業した。ロイター通信によると、レッサ氏は同日午後に受賞決定の報告を受け、「言葉を失った」と語った。

フィリピンでは16年に発足したドゥテルテ政権が超法規的な麻薬撲滅作戦などを展開した。レッサ氏は「沈黙は共犯である」として強権を前にしてジャーナリストが声を上げなければ、黙認したことと同様だと主張。強引な麻薬撲滅作戦で市民に多数の死者が出ている実態などを報じた。

ドゥテルテ氏はラップラーを目の敵としており、「フェイク(偽)ニュース媒体」などと指摘して不快感を隠していない。レッサ氏は19年には、過去の報道を理由に「サイバー名誉毀損(きそん)」容疑で摘発された。批判的な報道によって政権の標的となったとする見方が強い。ラップラー自体にも締め付けの思惑から脱税容疑が掛けられた。

それでもレッサ氏は批判の手を緩めなかった。20年に令状なしで長期間の逮捕・拘留を可能とする「反テロ法」が施行された際には、「(政府に対して)批判的な意見をいう人がテロリストとして認定される」と反発した。

18年には真実を追求するジャーナリストとして、米タイム誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」にも選ばれた。

急速に普及が進む会員制交流サイト(SNS)についても関心を持ち、「怒りや憎しみを含んだ嘘はより速く、より遠くまで広がる」と指摘。ネット上にフェイクニュースが蔓延(まんえん)する事態に警鐘を鳴らしている。