次期衆院選大阪3区から無所属で立候補する意向を示していた自民党元大阪市議の柳本顕(あきら)氏(47)が一転して出馬を見送ることが8日、分かった。3区は自民が推薦を内定した公明党現職の佐藤茂樹氏(62)が立候補を予定。柳本氏が出馬すれば、自公の選挙協力関係に亀裂が生じかねないとの両党幹部の懸念が根強く、同日午後に予定していた出馬表明の記者会見を急遽(きゅうきょ)延期した。
柳本氏の事務所は8日午前、「衆院選の出馬に関して党本部より連絡があり、党員として自民党を信頼し、対応をお任せする」とのコメントを出した。
柳本氏自身は7日朝、取材に「(会見で)衆院選出馬の意向を示す」と明言。記者団から「考えが変わることはないか」と問われ、「そんなことはあるのでしょうかね」と語っていた。
ところがその後に事態が急転する。
「身柄を預けてほしい」
党重鎮から直接、柳本氏にこうした申し入れがあり、対応を委ねることになった。それまでに柳本氏は自民の甘利明幹事長や遠藤利明選対委員長と面会したが、処遇面で色よい回答は得られていなかった。
自民関係者は「柳本氏が確実に国政での議席を取れる方法を党本部で検討している」と明かす。3区での出馬見送りは〝交換条件〟というわけだ。
重鎮が乗り出した背景に国政選挙での自公の選挙協力がある。衆院選では、公明が候補者を擁立する選挙区で自民が支援する見返りに、多数の選挙区で公明が自民を後押しする関係が続いている。公明は西田実仁(まこと)選対委員長ら党幹部が大阪3区を懸案の一つとして、複数回にわたり自民側に対応を要求していた。
公明の山口那津男(なつお)代表も7日、柳本氏の出馬について「そういう動きが出るのは好ましくない」と言及。他の選挙区の自公協力に影響が出かねないとの認識を示していた。