首相「力添え忘れない」 〝もっちゃん〟墓参に地元静岡は感謝

故望月義夫元環境相の墓に花を供える岸田文雄首相=7日午後0時54分、静岡市清水区の龍華寺(代表撮影)
故望月義夫元環境相の墓に花を供える岸田文雄首相=7日午後0時54分、静岡市清水区の龍華寺(代表撮影)

第100代首相に選出されてから3日後、岸田文雄首相が最初の地方遊説先に選んだのは「静岡」だった。7日告示の参院静岡選挙区補欠選挙で自民党公認候補の応援という事情もあるが、「盟友」の墓前に悲願の首相就任を一日も早く報告したい-との思いに駆られた。

7日、静岡市清水区の龍華寺。10月とは思えない陽気の中、補選の応援演説会場から駆け付けた首相は、駿河湾を一望できる高台にある故望月義夫元環境相の墓前に、静かに手を合わせた。岸田派の前事務総長で参謀役として20年以上、「岸田首相」誕生を願っていた側近の望月氏。同行した次女で県議の香世子氏は「誠実な首相からお気持ちをいただき、大変ありがたい」と感謝した。

2年前の冬、岸田首相誕生を見ることなく、他界した望月氏は生前、権謀術数が渦巻く永田町で「もっちゃん」「よっちゃん」の愛称で親しまれ、党派を問わず信頼を得ていた。「堅物」「面白みに欠ける」と評された岸田氏とは対照的だった。

「悲しみを乗り越えて進まなければならない」と望月氏の葬儀委員長を務め、挨拶(あいさつ)で声を詰まらせた岸田氏。7日の墓参後、記者団に「望月先生の期待にしっかり応えられるよう、気を引き締めて首相の活動に専念しなければならない」と決意を新たにした。

地元は首相就任3日後の墓参に、驚きとともに感謝の気持ちに包まれた。

望月氏の地盤を引き継いだ深沢陽一衆院議員は「補選の初日、時間を割いてここを訪れた。それほど望月先生の存在が大きかったのは間違いない。首相にとって精神的な支えになっていたんだろう」と推し量る。

地元では、先の自民党総裁選で岸田派以外の支持もあって勝ち取った総裁ポストだけに、「選挙が落ち着いてから来てもいい」と控えめな声もあったが、首相の「強いオファー」(地元関係者)で、補選告示の数日前に墓参が決まった。

墓参前、首相はJR静岡駅前での自民党公認候補の応援演説でこう叫んだ。「(補選は)大変重要な選挙。衆院選も控えている。選挙を通じて『岸田に任せる』という意志をいただき、思い切って経済対策や新型コロナ対策を実現したい」

国内外の課題が山積する中、首相にとって亡き盟友への悲願達成の報告は一つの通過点。これまでも節目、節目に墓参していたが、周囲は「ここからが本当のスタート。その区切りとして墓参が自身の中で必要だったのだろう」と指摘する。

天国のもっちゃん、ありがとう。見守っていてくれよ-。墓参後、そんな決意を新たにしたのか、「ありがとう」「頑張って」と声をかける地元の人たちに引き締まった表情で、こう応じた。「皆さんの力添えを忘れることなく、しっかりと政治の責任を果たしたい」