主張

連合新体制発足 「原発ゼロ」を認めるのか

連合は定期大会で、「ものづくり産業労働組合(JAM)」副会長の芳野友子氏を女性初の新会長に選出した。

事務局長には日本教職員組合(日教組)委員長の清水秀行氏の就任が決まった。官公労系の労働組合出身の就任は初めてとなる。

コロナ禍で非正規労働者をはじめ、働く人の職場環境が変化し、雇用にも大きな影響が出ている。岸田文雄新政権が所得格差の是正を重視するなど、労働問題の重要性が高まっている。芳野新会長には、働く者の暮らしを守るという労働組合の原点に立ち返ってもらいたい。

芳野氏は決意表明で「歴代会長のような経験はないが、皆さまの力を借りて難局を乗り越えるべく運動を推進したい」と語った。組織の結束を強調したのは、会長人事をめぐり、異例の紛糾が続いたことが念頭にあるのだろう。

連合の支援先が立憲民主、国民民主両党に割れる股裂き状態になったことが混乱の背景にある。旧同盟系の民間労組と旧総評系の官公労組による確執も絡んだ。

当面の課題は目前に迫る衆院選への対応だ。電力総連や電機連合などは、立民が党綱領に「原発ゼロ」を明記したことに強く反発している。立民は1日発表の原発・エネルギー分野の政権公約で「原発ゼロ」の明記こそ避けた。連合への配慮からだろうが、連合の立民への不信感は根強い。

エネルギー政策は国の根幹をなす問題だ。この説明を抜きにして政策が違う立民を支持するのでは組合員の理解は得られまい。

また、消費減税を訴える立民などの野党に対し、連合は消費減税すべきではないとの立場だ。代わりに、低所得層への対策として負担分を払い戻す「給付付き税額控除」を提唱する。労働運動をめぐって、連合と歴史的に対立関係にある共産党が立民との閣外協力で合意したことへの反感もある。

連合の発足当時800万人だった組合員数は昨年6月時点で700万人に減った。組織力の低下は組合運動の弱体化につながる。態勢の立て直しも課題だ。

連合の本来の役割は、労働条件の改善などにある。神津里季生前会長時代は政府と歩調を合わせて賃上げを実現した。事務局長に清水氏が就任し、イデオロギー色が強まる懸念もある。働く者の視点を忘れないでほしい。