不透明な資金に捜査のメス 関連会社ブラックボックス化

日本大学の付属病院の建て替え工事をめぐり、東京地検特捜部が7日、背任容疑で、日大の関連会社の取締役を務める日大理事、井ノ口忠男容疑者(64)と、大阪市内の医療法人グループ「錦秀会」の前理事長、藪本雅巳容疑者(61)を逮捕した事件。

この事件の舞台となったのは、日大が100%出資し井ノ口容疑者が取締役を務める関連会社「日本大学事業部」だった。東京地検特捜部は付属病院の建て替え工事を端緒として、「ブラックボックス」(検察幹部)と指摘されてきた関連会社の不透明な資金の流れに捜査のメスを入れた。

「現場で何をやっているのか、取引先とどう交渉したのか、詳細には把握できない」。日大事業部について、日大元幹部はその閉鎖性を認めた。

日大事業部は平成22年に設立された後、大学に関連する外部との物品調達の契約などを担当。井ノ口容疑者はその中心にいた。関係者によると、建設など担当業務は徐々に拡大し、25年12月期に約7億8千万円だった売り上げは、29年12月期には約69億6千万円に達している。

日大関係者は井ノ口容疑者の仕事ぶりについて「取引先に対して条件を提示し、交渉して妥協させる」「条件を飲んだ業者とのみ契約する」と口をそろえた。

医学部付属板橋病院の建て替え工事をめぐっても、その強引さで周囲を萎縮させたという。

「それじゃあ困るんだよね、どうにかできないかな」

設計業者の選定が行われた昨年2月ごろ、意中の都内にある設計会社が1位にならなかった評価結果を知った井ノ口容疑者は、日大事業部社長ら複数人に対し、設計会社の評価を水増しするように指示したという。結果、設計会社は約24億円で建て替え工事の設計を受注した。

日大事件を担当する検察幹部は、これまでの大学運営の在り方に限界が来ていると指摘。「大学には株主総会に相当するものがない。一部の人間が物事を決め、やりたい放題だ」と話した。