ナチスの迫害から多くのユダヤ人を救った陸軍中将、樋口季一郎の孫にあたる明治学院大名誉教授、樋口隆一氏(75)が本紙に手記を寄せた。樋口は「命のビザ」で有名な外交官、杉原千畝(ちうね)になぞらえ、「もう一人の杉原」とも呼ばれるが、2人の隠された絆を隆一氏が読み解く。
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第2次世界大戦前夜の日本によるユダヤ難民救出劇に関しては、1938年3月、満州国におけるハルビン特務機関長、樋口季一郎(1888~1970年)と、40年7月のリトアニア領事代理、杉原千畝(1900~1986年)の業績が挙げられる。一般にはまったく別個な出来事と捉えられているようだが、当時の背景を考えると共通した問題も少なくない。2人をつなぐ隠された絆を考えてみたい。