【プレビュー】「ONODA 一万夜を越えて」ほか4本 - 産経ニュース

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「ONODA 一万夜を越えて」ほか4本

映画[ONODA 一万夜を越えて」の一場面 ©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
映画[ONODA 一万夜を越えて」の一場面 ©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma

公開中の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「プレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。


「ONODA 一万夜を越えて」

先の大戦終結後、任務解除令が届かなかったため29年間、フィリピンの密林で秘密戦の任務を遂行し続けた元日本兵、小野田寛郎(ひろお、1922~2014年)が経験した壮絶な日々を、フランス人の監督、アルチュール・アラリが映画化した。

終戦間近の昭和19年、スパイ養成所「陸軍中野学校二俣分校」で特殊訓練を受けていた小野田(遠藤雄弥/津田寛治)は、フィリピン・ルバング島でゲリラ戦を指揮するよう、命令を受ける。島では仲間が飢えや病気で次々と倒れ…。

49年、日本に帰還したとき、小野田はすでに51歳になっていた。当時、大々的に報じられ、日本社会に衝撃を与えた。知らない外地で戦っていた気の遠くなるような長い日々に思いをはせ、その精神力に驚かされた。なぜ30年近くも密林の中で戦い続け、生き延びられたのか。子供の頃に抱いた疑問の答えは本作の中にあった。

カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門のオープニング作品に選ばれた。仏、日、独、ベルギー、伊合作だがほぼ全編が日本語。8日から東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開。2時間54分。(啓)

映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の一場面 ©Danjaq, LLC and MetroGoldwyn Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の一場面 ©Danjaq, LLC and MetroGoldwyn Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」

2時間半を超える長丁場にもかかわらず、スクリーンから片時も目が離せない。カーチェイス、銃撃戦。昔と違ってシリアスだが、美女も秘密兵器も出てくる。コロナ禍で何度も公開延期になった007の最新作がついに公開された。

ダニエル・クレイグ演じる6代目ジェームズ・ボンドは悩める男なのが現代風。この5作目まで愛と苦悩の物語を描いてきたが、これでクレイグはボンド役を卒業。それにふさわしい、とんでもないラストが待っている。「女王陛下の007」の挿入歌「愛はすべてを越えて」で締めくくっているのが粋だ。英米合作。

東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開中。2時間43分。(健)

映画「夢のアンデス」の一場面 ©Atacama Productions - ARTE France Cinéma - Sampek Productions -Market Chile / 2019
映画「夢のアンデス」の一場面 ©Atacama Productions - ARTE France Cinéma - Sampek Productions -Market Chile / 2019
「夢のアンデス」

チリ出身の監督、パトリシオ・グスマンがチリの歴史と自然を描いた3本目の作品。1973年のピノチェトによる軍事クーデター後、海外に亡命した監督にとって、アンデス山脈は永遠に失われた輝かしいチリ、そして監督の夢の象徴という。

ピノチェト時代の暴力を映像に収めてきた映画監督や彫刻家、作家などの証言に雄大な風景を織り込みながら、チリの弾圧の歴史や現在を描いたドキュメンタリー。歴史に自然を絡めた描き方がユニークだ。カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。チリ、フランス合作。

9日から東京・岩波ホール、22日から京都・アップリンク京都などで全国順次公開。1時間25分。(啓)

映画「人と仕事」の一場面 ©2021「人と仕事」製作委員会
映画「人と仕事」の一場面 ©2021「人と仕事」製作委員会
「人と仕事」

保育士を主人公にした映画の準備を進めていたが、コロナ禍で製作中止に追い込まれた映画監督の森ガキ侑大(ゆきひろ)が、出演予定だった志尊(しそん)淳、有村架純(かすみ)とともに、保育士のほか農家、風俗嬢、ホームレス、児童養護施設職員らを訪ね、コロナ禍による苦境を聞いた。「人にとって仕事とはなにか」という大きなテーマに迫るドキュメンタリー。

真剣に耳を傾け、戸惑いながらも寄り添おうと努める志尊と有村の存在は、時宜を得たドキュメンタリーのガイドとして重要な役割を果たす。同時に森ガキは、エンターテインメントは不要不急の仕事なのかという自問への答えも探す。

8日から東京・新宿ピカデリー、大阪・なんばパークスシネマなどで全国公開。1時間37分。(健)

 映画「エリック・クラプトン/ロックダウン・セッションズ」 ©Dave Tree
映画「エリック・クラプトン/ロックダウン・セッションズ」 ©Dave Tree
「エリック・クラプトン/ロックダウン・セッションズ」

コロナ禍で公演が中止になった英ロックギターの神様、エリック・クラプトンが、田園地帯にポツンと建つ19世紀半ばに建てられた邸宅を借り、スティーブ・ガッド(ドラム)、ネーザン・イースト(ベース)ら気がおけない仲間と巣ごもりし、セッションを繰り広げるさまを記録した映像。

ロックダウン下で「ミュージシャンにできることは、演奏を続けることだ」という意思表明だというが、アコースティック・ギターを中心に、29年前に大ヒットした「アンプラグド~アコースティック・クラプトン」を再現するような切々とした歌声を聴かせる。来月、ブルーレイなどが発売されるが、映画でしか見ることのできない映像もあるという。

8日から東京・新宿ピカデリー、大阪・なんばパークスシネマなどで全国公開。9日までの2日間のみの興行という劇場も多い。(健)