【ワシントン 渡辺浩生、北京=三塚聖平】サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国外交トップの楊潔篪(よう・けつち)共産党政治局員が6日、スイス・チューリヒで会談し、年内にバイデン大統領と習近平国家主席がオンライン形式で会談することで原則合意した。政府高官がロイター通信に語った。中国による台湾への威圧が高まる中で、米中の当局者は緊張緩和に向けた危機管理について協議。首脳会談に意思疎通をつなげた形だが、中国側が台湾への挑発をやめるかどうかは不透明だ。
ホワイトハウスによると、サリバン氏は楊氏に対し人権、新疆(しんきょう)ウイグル自治区、香港、南シナ海、台湾など米国が懸念を抱く問題を提起した。両国の競争が衝突や不測の事態に発展することのないよう責任をもって高官レベルで意思疎通を図るとする一方で、同盟国や友好国と密接に連携する考えを示した。
中国外務省の発表によると、楊氏は、サリバン氏に対し「中国は『競争』という言葉で中米関係を定義することに反対する」との考えを示した。その上で「米国が理性的で実務的な対中政策をとるよう望む」と述べ、中国側が協調姿勢を見せている気候変動問題などについて会談で協議したと表明した。台湾問題に関して「米国は「『一つの中国』政策の堅持を表明した」とも強調した。
首脳会談をめぐって米側は、ローマで今月末に開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせた対面形式での実現を模索した。しかし、中国側は習国家主席が出席する予定がないことを示したため断念したとみられる。習氏は、新型コロナウイルスの流行が始まった昨年1月を最後に外遊していない。
またフランスを訪問したブリンケン国務長官は米ブルームバーグ通信のインタビューに、中国軍機が台湾の防空識別圏に進入する一連の挑発について「現状を武力で変更させる一方的な行動」と指摘、誤った方向に状況を導く危険があるとして停止を求めた。