言論活動で存在感、私財投入も すぎやまこういち氏

作曲家のすぎやまこういちさん=2017年1月14日、京都市中京区(寺口純平撮影)
作曲家のすぎやまこういちさん=2017年1月14日、京都市中京区(寺口純平撮影)

9月30日に死去した作曲家のすぎやまこういち氏は国家や社会を憂える言論活動でも知られ、保守系シンクタンク「国家基本問題研究所」の評議員を務めるなど、論壇でも存在感を放っていた。

すぎやま氏の言論人としての面が注目されるようになったのは平成12年。自らが発起人代表となって「一票の格差を考える会」を設立し、新聞などへの意見広告で「面倒がらずに、ひとりひとりが考えと意志を持ち、声をあげ、行動を起こそうではありませんか」と呼びかけた。この前後から産経新聞の投書欄にも一読者としてたびたび投稿し、北朝鮮問題や非核三原則の見直しなどについて、幅広い議論や政策への国民の意思反映を訴えた。

国民一人一人の力で、現状を変えたい。その思いは、19年の慰安婦問題に関する米下院の対日非難決議案の採択時、米紙に日本側識者の意見を盛り込んだ全面広告を掲載させた際や、「朝日新聞を糺(ただ)す国民会議」や「放送法遵守(じゅんしゅ)を求める視聴者の会」の代表呼びかけ人を務めた際にも、一貫していた。21年からの民主党政権に対しては「国民の生命を守れず、日本を弱体化させる」として強く反発。保守勢力の大同団結を促したほか、24年の自民党総裁選時には「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」の発起人に名を連ね、第2次安倍政権の成立にも一役買った。

また、愛煙家としての立場から「喫煙文化研究会」を旗揚げし、同会代表として喫煙者への過剰な圧迫を「禁煙ファシズム」と批判した。さまざまな社会問題に対し、私財を投じて理想の実現を目指す有言実行の人でもあった。


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