対タリバンで温度差 アフガン隣接の中央アジア3カ国 異なる思惑 - 産経ニュース

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対タリバンで温度差 アフガン隣接の中央アジア3カ国 異なる思惑

政権掌握後初の記者会見をするイスラム主義組織タリバンのザビウラ・ムジャヒド報道担当者(左端)=8月17日、アフガニスタン・カブールで(共同)
政権掌握後初の記者会見をするイスラム主義組織タリバンのザビウラ・ムジャヒド報道担当者(左端)=8月17日、アフガニスタン・カブールで(共同)

【モスクワ=小野田雄一】アフガニスタンを掌握したイスラム原理主義勢力タリバンへの対応で、隣接する中央アジア3カ国の温度差が目立っている。タジキスタンはタリバンを非難し、双方が国境付近の兵力を増強する事態に発展。一方、ウズベキスタンとトルクメニスタンはタリバンに融和的だ。背景には、経済や治安、民族問題をめぐる各国の思惑の違いがある。

タジクが非難

タジクのラフモン大統領は9月23日、国連総会で「タリバンは各民族が参加する包括的政府をつくるとの約束を守るべきだ」と演説。タリバンは過激派を釈放していると非難し、「アフガンは再び国際テロの温床になる」と警告した。

27日には、タジクはアフガン国境付近で2千人の将兵や50台の地上兵器が参加する軍事パレードを行い、ラフモン氏も閲兵した。国境地帯に兵力を集め、タリバンを牽制(けんせい)した形だ。

一方、タス通信によると、タリバンは25日、「潜在的脅威に対処するため」としてタジク国境付近に特殊部隊を配備したと発表。27日に放映された中東テレビ局のインタビューで、タリバン幹部が「タジクはアフガンに内政干渉すべきではない」と述べるなど、両者の緊張が高まっている。

タジクが危惧しているのは、アフガン国民の3割前後を占めるとされるタジク系住民がパシュトゥン人主体のタリバン政権下で迫害されることだ。さらにアフガンには、ラフモン政権の打倒を宣言し、テロ活動を行ってきたタジク人系過激派組織「ジャマート・アンサルッラー」が存在し、タリバンと協力関係にある。タジクは民族保護や治安維持の観点から、タリバンとの敵対も辞さない構えだ。

2国が支援前向き

タジクと対照的に、ウズベキスタンはタリバン支援に前向きだ。同国は9月、アフガンに食料など1300トンの人道支援を実施。ミルジヨエフ大統領も先の国連総会で、「アフガンを孤立させるべきではない」と演説した。タス通信によると、ウズベク政府は今月、アフガンへの電力供給を停止しない方針も示した。

ウズベクは南アジアへの経済進出を図っている。そのためには輸送路となるアフガンの安定が不可欠とみて、タリバンと良好な関係を築く思惑だ。アフガンに拠点を置き、ウズベク政府と敵対してきた過激派組織「ウズベキスタン・イスラム運動」が各勢力との戦闘で壊滅状態となり、治安上の懸念が少ないことも、同国のタリバンへの接近を後押ししているとみられる。

トルクメニスタンもウズベクと同様だ。ベルドイムハメドフ大統領はタス通信が今月1日に配信したインタビューで「タリバンと関係を強化する準備がある」と表明。トルクメニスタンは、自国産天然ガスをアフガン経由でパキスタンやインドに運ぶパイプライン「TAPI」の敷設計画の実現に向け、タリバンと協力する構えだ。実際、今年2月にトルクメを訪れたタリバン幹部から「TAPI計画を支援する」との確約も得ていた。