「超党派」バイデン流に試練 重要法案で対応苦慮 - 産経ニュース

メインコンテンツ

「超党派」バイデン流に試練 重要法案で対応苦慮

【ワシントン=塩原永久】超党派の政治手法を重んじるバイデン米大統領が試練に直面している。インフラ整備に約1兆ドル(約110兆円)を投じる看板政策の法案審議が、所属する与党・民主党内の内紛で中断。政府の借り入れ限度を定める債務上限問題でも野党・共和党の激しい突き上げを食らい、対応に苦慮している。国民の支持率は大きく落ち込み、指導力が問われる局面となっている。

「市場は揺れている。共和党は経済を使ったロシアンルーレット(危険なギャンブル)をやめよ」

バイデン氏は6日、ホワイトハウスでの経済関係者との会合でこう述べ、債務上限問題で譲歩しない共和党を非難した。

債務上限の効力停止措置が7月末に期限を迎えたため、議会が改めて効力を停止したり、上限を引き上げたりする法案を成立させる必要がある。だが、バイデン氏と民主党は、歳出膨張を問題視する共和党の協力を得られず、政府資金が底を突いて今月18日にも連邦政府が債務不履行(デフォルト)に陥る懸念が出ている。

共和党は債務上限を12月まで2カ月間に限り凍結させる案を示したが、民主党側では、問題解消につながらず「のめない案だ」との警戒感も根強く、事態打開に至るか見通せない。

与野党の融和を訴えてきたバイデン氏だが、8月にはアフガニスタンからの米軍撤収の判断が「拙速だった」と共和党から厳しく批判され、劣勢に立たされる場面が目立っている。

ここにきて、さらにバイデン氏の求心力に疑問符を突き付けているのが、民主党内の対立激化だ。

同氏が提案した子育て支援・福祉拡充の巨額歳出法案をめぐり、財政規律を重視する民主党穏健派の上院議員グループが「巨額すぎる」と反発。逆に、福祉政策に力を入れる同党左派が穏健派を批判し、与党内の亀裂が鮮明になっている。

バイデン氏は先日、穏健派の懸念を踏まえて、当初3兆5千億ドル(約390兆円)規模とした歳出規模を、2兆ドル程度に圧縮すると示唆したが、それが党内左派の怒りに火をつけることになった。

党内対立のあおりを受けたのが、道路や橋の整備などに約1兆ドルを投じるインフラ投資法案だ。法案は超党派の支持を得ていたが、子育て支援・福祉拡充法案の規模縮小を受け入れない民主党左派が、インフラ法案に賛成票を投じる方針を撤回し、暗礁に乗り上げてしまっている。

米キニピアック大学が6日発表した世論調査によると、バイデン氏の支持率は38%と不支持の53%を大きく下回り、1月の就任後で最低の水準となった。

【米国の債務上限問題】 米連邦政府が発行できる国債の総額は、財政悪化に歯止めをかけるため法律で定められている。債務が上限に達した場合には、議会の承認によって上限を引き上げるなどの措置が必要になる。議会の承認を得られなければ、国債を新規発行できず、政府資金が枯渇する恐れが出てくる。トランプ前政権下の2019年7月に議会は2年間の上限適用停止を決めたが、今年8月に上限が復活して28兆5千億ドル(約3177兆円)とされた。