【都民の警察官横顔】④「非行防止、地域とともに」少年育成課 小林由紀警部補(53) - 産経ニュース

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都民の警察官横顔

④「非行防止、地域とともに」少年育成課 小林由紀警部補(53)

子供の非行防止に力を入れてきた小林由紀警部補
子供の非行防止に力を入れてきた小林由紀警部補

日本の将来を担う子供が健やかに育ってくれることを願いながら、生活安全部門で長きにわたり、少年らの非行・被害防止に携わってきた。柔剣道や非行防止の教室などを通じ、周囲との協調性や規範意識などの育成に努めている。「すぐ目に見える成果はないかもしれないが、子供が何かの時に思い出し、悪い方向に進まないようになってくれればいい」と語る。

宮城で生まれ育った。高校生の時に、交差点で誘導にあたる制服姿の女性交通巡視員を見かけ、そのりりしさに心を揺さぶられた。だが当時、全国的に女性警察官の募集はなく、わずかな「枠」を求め警視庁の採用試験に挑み合格をつかんだ。振り出しは玉川署の交通課。「なりたくてなった警察官。日々やりがいを感じ充実していた」という。

結婚して2人の子供に恵まれ、産休育休で職場を離れたこともあったが「辞めるという選択肢は頭をよぎらなかった」。時代の流れも背中を押した。女性警察官の働く場も拡大。少年係などで地域と接する仕事に進んだ。育児制度も充実したが、同じ警察官の夫との調整だけでは育児が回せず、同僚の助けを借りた。「今あるのは周囲のおかげ」と感謝を忘れない。

目黒署勤務の平成13年、核家族が多い少年らに茨城での合宿を企画し、集団行動による協調性などの経験を積ませた。22年には、重大犯罪の入り口になる万引などの防止のため、人形劇を企画。少年育成課勤務の現在も、コロナ禍で柔剣道の試合ができなくなった少年たちに向け、訓練用動画のネット配信を企画するなど、斬新なアイデアで健全育成に貢献してきた。

時代が変化しても、子供との接し方は変わらない。「一人一人、性格も育ってきた環境も違う。話をしっかり聞いてあげることが大切」と話す。目の前の子供は今何を考え、何を不安に思っているのか。じっくりと考えながら、子供の居場所づくりに奔走する。「これからも地域の住民と一緒に、地域の中で活動していきたい」。優しい笑顔をのぞかせた。(根本和哉)

こばやし・ゆき 宮城県出身。昭和61年入庁。玉川署、池上署などを経て、平成20年に少年育成課に。現在は2度目の同課勤務。長女(28)と長男(25)は独立し、同じ警視庁警察官の夫、誠さん(55)と暮らす。趣味はガーデニング。約20年前の目黒署勤務時に柔剣道の父母会からもらったオリヅルランは、今も健在だ。