鑑賞眼

劇団四季「ライオンキング」朝焼けのキリン さんざめく動物たち 見たかった情景

雄大なサバンナ。動物たちがライオンの王子の誕生を祝いに集まるⒸDisney(上原タカシ撮影)
雄大なサバンナ。動物たちがライオンの王子の誕生を祝いに集まるⒸDisney(上原タカシ撮影)

ディズニー映画が原作の「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」をテーマに親子の絆や心の成長を描いた、アフリカ・サバンナの動物たちの物語。

皆に慕われるライオンの王様ムファサは、息子シンバを助けようとして、王の座を狙う弟スカーの罠にかかって命を落とす。シンバは追放され、王国は荒廃していく。月日が経ち、力をつけたシンバは、簒奪者スカーと対決するため、仲間を連れて戻ってくる…。

あらすじは一種の貴種流離譚で、王道の展開。無徳者による統治は世が乱れるという天命思想もうかがわせる。いつまでも色褪せないのは、ひとえにスタッフ、キャストの素晴らしさがあってこそ。

開幕からクライマックスだ。ヒヒのラフィキ(青山弥生)らの力強いズールー語の歌声に乗って、夜明けの太陽を優雅にキリンが横切り、客席を通ってゾウやサイが集まり、羚羊(れいよう)の群れや鳥たちがさんざめく。

約70種類の動植物をパペットやマスクで表現。日本の文楽人形やインドネシアの影絵の技法を参考にして、観客の想像力を掻き立てる。考え抜かれ、洗練された舞台表現によって、目の前には美しく雄大なアフリカの大地が広がる。自分が見たかった情景はまさにこれだったのかと、胸を打たれた。最新の映像技術などとはまた違う、より人の手を感じる魅力だ。

宇龍真吾演じるムファサは威厳に満ちており、小泉伊生のヤングシンバは伸びやかで無邪気。飯村和也のスカーは歌舞伎で言うところの「色悪」の引力があり、山下啓太のシンバは繊細で若々しく、力にあふれていた。

キャストほか多数。1998年の開幕以来、無期限ロングラン公演を継続し、総公演回数は1万3千回を超え、観客動員数は1290万人以上。日本演劇史上、類を見ない記録を打ち立て続けている。

今年9月からは場所を移して、東京都江東区の有明四季劇場にて上演。問い合わせは劇団四季、0570・008・110。(三宅令)

公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。