太平洋戦争中に山形・蔵王連峰の地蔵岳(1736メートル)山頂で気象観測を担った「蔵王山測候所」のあった位置がこのほど特定された。山形大の柳沢文孝名誉教授(環境化学)が勤務経験者の証言や過去の航空写真を基に調査。風速70メートルにも及ぶ強風から建屋を守っていた石垣跡を発見した。
柳沢氏によると、測候所は1943年9月~47年9月まで運用。軍事面で重要情報だった天気予報の精度向上を目的に、地上では分からない雲の動きなどを観測した。「軍事に関連した施設は当時、秘密の存在」(同氏)だった。
勤務経験のある梛野栄司さん(95)=山形市=の証言や保管していた写真から、山肌に吹き付ける強風から建屋を守る石垣があったことが判明。蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅の南約300メートルの地蔵岳山頂に、高さ約50センチの石垣跡を見つけた。