拉致家族、岸田政権に不安感 松野氏と「面識ない」 - 産経ニュース

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拉致家族、岸田政権に不安感 松野氏と「面識ない」

横田早紀江さん(手前)と拓也さん =2日午後4時41分、川崎市(代表撮影)
横田早紀江さん(手前)と拓也さん =2日午後4時41分、川崎市(代表撮影)

岸田文雄内閣が発足直後から北朝鮮による拉致問題の解決に向けた意欲を強調している。首相は就任した4日の記者会見で、拉致問題を「最重要課題」と位置づけ、翌日には被害者家族に電話で決意を伝えた。だが、若手議員のころから拉致問題に取り組んだ安倍晋三元首相や菅義偉(すが・よしひで)前首相と比べると接点は少なく、拉致被害者の家族らは不安を漏らしている。具体的な成果を出すためいかなる道筋を描くのかが試される。

「新内閣においても拉致問題は最重要課題の一つであることをしっかり申し上げた」。6日朝、首相は前日に横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(85)ら家族に電話で決意を伝えたことを明らかにした。バイデン米大統領との電話会談で拉致問題解決へ向けた日米連携を確認したことも報告したという。

ただ、岸田政権の姿勢には家族や支援者から不安が漏れている。最大の懸念は接点の少なさだ。拉致問題担当相を兼務する松野博一官房長官について「面識がない」との声が上がる。今回、首相と松野氏が政権発足直後に家族に連絡したのも、こうした懸念の払拭を狙ったとみられる。

首相は安倍、菅両氏が描いた戦略を踏襲する。北朝鮮には、核・ミサイル開発に対する制裁を維持する一方、国交正常化に伴う経済支援を誘い水に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記と無条件で会談する意向を示している。

ただ、岸田政権が安倍政権と同様に柔軟な対応をとれるとはかぎらない。

安倍政権では平成26年、すべての拉致被害者の再調査の見返りに制裁を緩和するストックホルム合意を北朝鮮と取り交わした。当初から北朝鮮が合意を履行するか疑問視する声があり、実際に北朝鮮は一方的に合意破棄を宣言したが、家族会は安倍氏への信頼から経過を見守った。

岸田政権で同様の対応をした場合、家族会や世論がどう反応をするかは未知数だ。党ベテランは「日朝会談が実現して『重大局面』を迎えたとき岸田首相が決断できるか。厳しい状況にさらされる可能性もある」と指摘する。

一方、首相はバイデン米政権が対北朝鮮政策を見直したことを受け、日本側の対応を検討すると説明している。しかし、米側の政策見直しが終わったのは今年4月で、既に5カ月以上が経過している。日朝関係も停滞しているだけに、岸田政権は具体策を迅速に策定することが求められる。(中村昌史)